コロンビア大統領選まで10日、急進左派ペトロ氏が支持率トップ

(コロンビア)

ボゴタ発

2022年05月19日

5月29日に第1回投票が行われるコロンビア大統領選挙まで10日となった。調査会社セントロ・ナシオナル・デ・コンスルトリアの最新の世論調査(注1)によると、「大統領選が明日だったら誰に投票するか」との質問では、急進左派のグスタボ・ペトロ氏が38%でトップとなり、中道右派のフェデリコ・グティエレス氏(23%)に15ポイントの差をつけた。「決選投票でペトロ氏とグティエレス氏のどちらに投票するか」との質問では、ペトロ氏が47%、グティエレス氏が39%で、前回とほぼ変わらない結果となった(2022年4月7日記事参照)。既存政治の改革を掲げるペトロ氏が、一貫して高い支持率を維持している。

ペトロ氏は、カリブ海沿岸のコルドバ県出身の62歳。2012~2015年にボゴタ市長を務めた。2018年の大統領選に立候補し決選投票まで残ったが、得票率41.81%でイバン・ドゥケ大統領に敗れた。​市長時代には、低所得層向けに毎月6,000リットルの上水道を無償供給、路上生活者らへ移動式医療・食料サービスを提供など、手厚い社会保障政策を実施した。一方、ごみ収集事業の公営化に取り組んだ際には、委託先が十分な収集能力を備えていないことが判明し、3日間、ボゴタ市内にごみが放置されるなど公衆衛生上の問題が発生し、35日間、市長職を解かれた。市政運営の評価については、良いと評価する人が就任時に22%、離任時には19%と、低評価が続いた(注2)。

ペトロ氏の大統領選の主な公約は、以下のとおり。

  • 経済:採掘業中心の経済から、環境を重視した知識集約型の農業・産業経済への転換。
  • 貿易:貿易協定の再交渉。国内生産できる農産物や農産生産資材の輸入停止。
  • 外交:アンデス共同体、国連、EU、米国、中国、日本、韓国、東南アジアとの連携強化。ベネズエラとの外交関係再開。
  • 和平:FARCとの和平合意履行推進、ELN(民族解放軍)との交渉再開。
  • 社会保障:上水道、ガス、電気、インターネット、住宅提供の保障。
  • 税制:富裕層の金融所得に対する課税強化で14兆ペソ(約4,480億円、1ペソ=約0.032円)の税収増。
  • 教育:公立高等教育無償化

(注1)5月2~13日に実施。6,204人から回答を得た。

(注2)調査会社シフラス&コンセプトスが2015年7月8日~8月23日に実施した世論調査による。

(茗荷谷奏)

(コロンビア)

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