3月のインフレ率は前年同月比11.3%。インフレ目標値を引き続き大きく上回る
(ブラジル)
米州課
2022年05月06日
ブラジル地理統計院(IBGE)は4月8日、代表的な物価指数である拡大消費者物価指数(IPCA)の3月の上昇率を前月比1.62%と発表した(添付資料表参照)。3月の上昇率としては、ハイパーインフレの状況だった1994年3月に42.75%(注1)を記録して以来の高さとなった。前年同月比では11.30%だった(添付資料図参照)。
前月比の上昇率を費目別にみると、通信(0.05%減)以外の全ての項目で上昇した。最も上昇率が高かったのは交通・運輸(3.02%)だった。寄与度でも0.65ポイントと最も高かった。次いで上昇率が高かったのは、飲食料品(2.42%)、衣類(1.82%)。飲食料品は、寄与度でも0.51ポイントと2番目に高かった。
交通・運輸の上昇要因は、燃料価格(6.7%)、特にガソリン価格(6.95%)の上昇だ。エタノール(3.02%)やディーゼル油(13.65%)の価格も上昇し、自動車用燃料の価格が上昇していることが影響を与えている(注2)。
飲食料品(2.42%)は、2020年11月に2.54%の上昇率を記録して以来の高さとなった。干ばつの影響を受け、トマト(27.22%)、タマネギ(31.47%)、大豆油(8.99%)、果物(6.39%)の価格が上昇したことが主因(4月8日付IBGEプレスリリース)。
IBGEによると、前年同月比の上昇率が2桁を記録するのは7カ月連続。中央銀行が設定する2022年のインフレ目標の中央値(3.5%。許容範囲は上下1.5ポイント)も引き続き大きく上回っている。中銀は、5月3日から4日に開催が予定されている金融政策委員会(Copom)で、政策金利(Selic)を現在の11.75%から12.75%に引き上げるとみられる。
(注1)ブラジルでは、1980年代後半から1990年代半ばにかけてハイパーインフレに陥り、1993年には年間のインフレ率が2,000%を超えた。1994年7月に高インフレ是正や財政健全化などの構造改革を推進するべく「レアル・プラン」を導入。ハイパーインフレの沈静化に成功した。
(注2)ブラジルでは、ガソリンに加えてエタノールなどのアルコールを燃料として走行できるフレックス燃料車も多く走行している。
(辻本希世)
(ブラジル)
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