1~4月の歳入は税還付や土地使用権譲渡収入減の影響で減少

(中国)

北京発

2022年05月19日

中国の財政部は5月17日、1~4月の中央・地方を合わせた全国の一般公共予算(注1)の歳入が前年同期比5.7%減の7兆4,293億元(約141兆1,567億円、1元=約19円)となり、増値税(付加価値税)還付の影響を除くと5%増だったと発表した。

中国政府は、新型コロナウイルスの影響緩和など、企業活動の下支えのため増値税の還付といった支援策を進めている(2022年5月12日記事参照)。財政部の許宏才副部長は同日の記者会見で、「今年は約2兆5,000億元の税の減額・還付などが予定されており、そのうち新たに実施される増値税還付が1兆5,000億元を占める」と増値税還付の影響の大きさを説明した。税目別の歳入をみると、増値税は28.9%減の1兆7,676億元(還付の影響を除くと1.8%増)となっている。歳出は5.9%増の8兆933億元だった。うち、科学技術分野が15.5%増、衛生・健康分野が7.5%増、農林業・水利分野が12.9%増、交通・運輸分野が7.2%増と全体を上回る伸びになった。

また、全国の政府性基金予算収入(注2)は、前年同期比27.6%減の1兆7,565億元だった。うち、地方政府の土地使用権譲渡収入(注3)が29.8%減の1兆5,012億元と大幅に減少した。地方政府の土地使用権譲渡収入は、2021年には地方政府の政府性基金予算収入の約9 割以上を占めており、地方政府にとって大きな財源となっている。

国務院発展研究中心マクロ研究部の馮俏彬副部長は、土地使用権譲渡収入は地方政府が自由に支出できる財源で、その減少は地方財政に一定の影響があるとし、「地方政府は発展モデルのイノベーション・転換を行い、土地財政ではなく科学技術イノベーション、新興産業などから収入を上げる必要がある。これは長くて苦しい道のりだ」と、地方財政の構造転換が必要とした(「経済観察網」5月17日)。

(注1)税収を主な財源とし、日本の一般会計に近い。

(注2)法律、行政法規により、一定期間内に特定の対象から徴収もしくはその他の方法で集めた資金を、特定の公共事業の発展のために使用する予算。日本の特別会計に近い。

(注3)中国では土地は原則的に国有で、一般的には土地使用権を有償で取引する。

(河野円洋)

(中国)

ビジネス短信 93689a106af5d284