カンボジア首相、ミャンマー国軍司令官とオンライン会談

(ASEAN、カンボジア、ミャンマー、米国)

ジャカルタ発

2022年05月06日

2022年のASEAN議長国カンボジアのフン・セン首相は5月2日、ミャンマーのミンアウンライン国軍司令官兼国家統治評議会議長とオンライン会談を実施した(カンボジア外務国際協力省プレスリリースPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))。同首相はアウンサンスーチー氏を含む全ての関係者とASEAN特使との面談の重要性をあらためて訴えた。

同首相は2021年4月のASEAN首脳級会議で発表された「5項目の合意」(2021年4月27日記事参照)のうち、特に(1)暴力行為の停止、(2)円滑な人道支援、(3)包括的な政治対話の3点の速やかな実施を要求した。ASEAN特使であるカンボジアのプラック・ソコン副首相兼外務国際協力相は3月にミャンマーを訪問し、同国軍司令官などと面談を行ったが、スーチー氏とは面談ができていない状況だ(2022年3月30日記事参照)。フン・セン首相は2回目のASEAN特使派遣を5月末に検討しているとした上で、「包括的な政治対話を始める環境を醸成するためにも、スーチー氏とウィン・ミン前大統領を含む全ての関係者とASEAN特使が面会できることが重要だ」とミャンマー側の協力を求めた。これに対し、同国軍司令官は「関係者との面談を取り計らう」と回答したが、プレスリリースでは、スーチー氏との面談を約する直接的な言及は見られない。

同国軍司令官は、「5項目の合意」を履行していないとして、ASEAN首脳会合などへの参加が認められていない状況が続いている。5月12~13日には米国ワシントンで米国とASEANの特別首脳会合が開催される予定だが(2022年4月19日記事参照)、米国側は同国軍司令官の出席を認めない方向で検討している(「イラワディ」4月22日)。

(上野渉)

(ASEAN、カンボジア、ミャンマー、米国)

ビジネス短信 8074bbae8e07ba71