ASEAN特使がミャンマー訪問、国軍司令官と面談も具体的成果はみえず

(ASEAN、カンボジア、ミャンマー)

ジャカルタ発

2022年03月30日

カンボジアのプラック・ソコン副首相兼外務国際協力相は、3月21日から23日にかけてリム・ジョクホイASEAN事務総長とともにミャンマーを訪問し、ミンアウンライン国軍司令官兼国家統治評議会議長や関係閣僚と面談を行った(カンボジア外務国際協力省プレスリリースPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))。同副首相はミャンマー情勢に関するASEAN特使に任命されており、特使としてのミャンマー訪問は初となる。しかし、アウンサンスーチー氏を含む、全ての関係者との面談は実施できず、具体的な成果に欠ける結果となった。

今回の訪問は、カンボジアのフン・セン首相による2022年1月のミャンマー訪問(2022年1月12日記事参照)のフォローアップ、2021年4月のASEAN首脳級会議で発表された「5項目の合意」(2021年4月27日記事参照)の円滑な実行、および必要とするミャンマー国民への人道支援を目的としたものだ。国軍司令官との面談においてプラック副首相は、暴力行為の停止、人道支援の継続的な提供、および全ての関係者との対話の3点を、優先項目として要求した。同副首相はワナマウンルイン外相とも会談を行い、同優先項目のほかに人道支援を迅速に行うことの重要性を強調した。

今回の訪問では、国軍に反対する勢力との面談は実施できていない。国軍による権力掌握後に、連邦議会代表委員会(CRPH)によって設立された国民統一政府(NUG)は「特使はNUGやCRPHを含む全ての関係者と面談をするべきだ」とのコメントを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

年内のミャンマー情勢解決は困難との見通し

同副首相は帰国後の記者会見で、フン・セン首相によるアウンサンスーチー氏への面談要求につき、「同氏への裁判が行われている現在は難しいが、将来的には検討の余地がある」と同司令官から回答があったことを明かした(「ジャカルタ・ポスト」紙3月24日)。また、今回の訪問がミャンマー国軍による統治に正統性を与えかねないといった懸念があるという質問に対しては、「4月もしくは5月に、ミャンマー支援の分配に関する会議の開催を提案しており、平和構築支援だけを目指している」と答えた(「VOAニュース」3月24日)。一方、「ミャンマー情勢は複雑で解決には時間がかかる」とした上で、「カンボジアがASEAN議長を務める今年中の解決は難しい」との見解を示した(「クメール・タイムズ」紙3月26日)。

カンボジア協力平和研究所のブラッドリー・ムルグ上級研究員は、ミャンマー情勢に対しASEANが取れる選択肢は「非常に限られている」と指摘し、「カンボジアやASEANが、ミャンマーの現状を根本的に変えることができるという現時点での楽観論は見当違いだ」と述べている(「VOAニュース」3月24日)。

(上野渉)

(ASEAN、カンボジア、ミャンマー)

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