英国、移民制度の改革を実現する国籍・国境法を発表

(英国)

ロンドン発

2022年05月10日

英国への不法入国の抑止と、人身取引ネットワークのビジネスモデルを禁止し、英国に居住する権利のない人の国外追放を加速させることを目指す「国籍・国境法」が4月28日に成立した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。これは、4月14日に署名したルワンダとの移民・経済開発パートナーシップ(2022年4月26日記事参照)など、ボリス・ジョンソン首相が同月初めに発表した不法移民対策に続くものだ。

英国政府は今回成立した同法について、他の安全な国で難民申請をすることができながらも、英国に不法入国した人が英国の移民制度の下では「受け入れられない」と見なすことができることを法制化すると説明。このような移民制度の改革により、本当に亡命を必要とする人を、より安全かつ合法的な方法で支援できるようになるとした。

改革の主な内容は以下のとおり。

  • 人身取引に対する罰則を強化し、最高刑を無期懲役とする
  • 英国への不法入国やビザの在留期限が過ぎた人に対し、最高刑を4年間の禁固刑に引き上げる
  • 英国に居住する権利のない人の追放を妨げるような法的な異議申立ての繰り返しを阻止するための新たな措置を導入する
  • 科学的な年齢判定方法の導入を通じて、子供のふりをする大人を取り締まる
  • 米国式の電子渡航認証システム(ESTA)を新たに導入し、犯罪者の英国への入国を事前に阻止する

これらの改革は、今後数カ月から2023年にかけて実施される予定だ。

プリティ・パテル内相は、「世界的な移民危機に対する唯一の解決策はないが、これらの新たな法律は、数十年来の形骸化された移民制度を見直す第一歩となる」と述べた。

(オステンドルフ・七海・ありさ)

(英国)

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