クレハ、有害化学物質の吸着・無害化技術を持つ米クラロス・テクノロジーズと共同開発契約を締結

(米国、日本)

ヒューストン発

2022年05月10日

クレハは5月6日、クレハ・アメリカ(本社:テキサス州ヒューストン)を通じて、有害化学物質の吸着・無害化技術を持つ米国スタートアップ企業クラロス・テクノロジーズ(本社:ミネソタ州ミネアポリス、以下クラロス)と共同開発契約を締結したと発表した。

クラロスは、米国ミネソタ大学からの技術ライセンスにより、さまざまな基材中にナノ粒子を生成する技術を保有し、次世代のサステナブルな機能繊維や、水浄化の際に有害物質を効率的に除去できる吸着材を開発している。今回、共同開発契約を締結したのは、同社が保有するPFAS(注)の吸着および無害化を実現する技術に関するもの。同社が開発した「Clarosorb PFAS」という吸着材は、水中のPFASを効率的に捕捉し、より安全な水を生成する。また同社は、高度な分析能力を有していることに加え、PFASをフッ素や二酸化炭素などの安全な副生成物に変換する完全無害化プロセスを開発中であり、これらの技術を組み合わせた、分析・除去・破壊を含むPFAS浄化のエコシステム確立を目指すとしている。

クレハ・アメリカの西畑直光取締役社長は「当社は、フッ素系化学品も取り扱うメーカーであることから、PFASの環境負荷低減は重要な課題であると認識している。クラロスのPFASトータルソリューションは、われわれが有する既存の技術資産に非常に適合する。今回の戦略的パートナーシップにより、多くのイノベーションの創出を加速させることができる」と述べた。

クレハは2022年2月10日、クレハ・アメリカを通じて、カーボンナノチューブを加工する独自技術を持つ、米国ウーツ(本社:テキサス州クリーブランド)への出資を発表している(2022年2月14日記事参照)。

(注)パーフルオロアルキル化合物、ポリフルオロアルキル化合物およびこれらの塩類で、消火剤やコーティング剤など各種産業に広く利用されているものの、自然分解しないため環境中に残存しやすく毒性が高い化学物質。ホワイトハウスは2021年10月18日、PFASの規制を強化するとのファクトシートを公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(2021年10月21日記事参照)。

(沖本憲司)

(米国、日本)

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