バイデン米政権、有機フッ素化合物PFASの規制を強化へ

(米国)

ニューヨーク発

2021年10月21日

米国ホワイトハウスは10月18日、パーフルオロアルキルおよびポリフルオロアルキル化合物(PFAS)の規制を強化するとのファクトシートを公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

PFASは、水や油をはじく、熱に強いなどの特徴を持った化学物質で、撥水(はっすい)やコーティング、消火剤の用途でフライパンや家具などさまざまな製品に使用されている。一方で、PFASは廃棄された後、分解されるまでに長い時間がかかり、自然界に残り続けることから「フォーエバー・ケミカル」とも呼ばれている。近年の研究で、発がん性や免疫力の低下などさまざまな健康被害の可能性が指摘されており、水や空気、土壌に残ったPFASが人間や動物に与える健康面での悪影響が問題となっている。

ファクトシートによると、規制において柱になるのは環境保護庁(EPA)による今後3年間におけるPFAS規制のロードマップ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、一部のPFASを有害物質として認定する計画のほか、メーカーに対して製品に含まれるPFAS量を精査・報告することなどが盛り込まれている。その他、人々がどのくらいPFASにさらされているか、人と環境にどれほどの危険があるかなど現時点ではっきりしていない部分も多いことから、食品医薬品局(FDA)による一般食品に含まれ得るPFAS量の検証を今後3年間行っていくことや、国防総省(DOD)によるDOD施設内などにおけるPFASの汚染状況評価などの対応も含まれている。また、ファクトシートでは、現在、議会で審議中の超党派のインフラ法案(2021年10月5日記事参照)には、PFASに対処するための地域補助金100億ドルや飲料水に含まれるPFAS量のモニタリングを全国で行うための投資が含まれていることも指摘している。

一部メーカーではPFASの使用を停止する動きが進んでおり、マクドナルドは2025年までに全ての包装・容器からPFASを全廃すると発表しているほか、アマゾンも自社ブランド「アマゾン・キッチン」の食品製品の包装・容器で同じくPFASの使用を禁止することを発表している。一方で、業界団体は、今後広くPFAS関連製品の使用が禁止されれば、携帯電話やソーラーパネルなどに使用されている約600のPFASについては、代替品が入手できない可能性があると述べており(E&Eニュース10月18日)、今後の規制動向に警戒感をにじませている。

(宮野慶太)

(米国)

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