トルコ外相、イスラエルとパレスチナを相次ぎ訪問

(イスラエル、トルコ、パレスチナ)

テルアビブ発

2022年05月27日

イスラエル外務省は5月25日、トルコのメブリュト・チャウシュオール外相が同国を訪問し、ヤイル・ラピッド外相と会談したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。トルコ外相のイスラエル訪問は15年ぶり。

会談の中でラピッド外相は、両国間の関係が常に良好だったとは言えないとしつつも、トルコが、イスラム教徒が国民の多数派である国としては初めて、イスラエルの独立後間もない1949年に国家承認したことなどにも触れ、両国の関係性の深さを強調した。同外相は、トルコとの共同経済員会の活動を再開させること、また、新たな民間航空協定締結のための作業を開始することを発表した。

「タイムズ・オブ・イスラエル」紙(5月25日)は、新たな民間航空協定締結の背景として、トルコ側が、イスラエルが求める特別なセキュリティ規定の順守を拒否したため、2007年以来、イスラエルの航空会社によるイスラエルとトルコ間の航空便の運行がなかったことを指摘している。以来、両国間のフライトはターキッシュ エアラインズが担ってきた。同社は、イスラエルから運航する航空会社として最大となるイスラエル国営エルアル航空に次いで、発着数で2位の座を占めている。

今回の発表では、両国間で2018年の召還以来続いている双方の大使の不在(2021年12月10日記事参照)については、再派遣の明確な日程への言及はなかった。しかし、2022年3月にアイザック・ヘルツォーク大統領がトルコを訪問し、レジェップ・タイップ・エルドアン大統領と会談(2022年3月14日記事参照)したことを皮切りに、表面化してきた両国関係の改善がさらに進む公算が大きい。またラピッド外相は、米国がイラン・イスラム革命防衛隊(IRGC)のテロ組織リスト指定解除を見送ったことにも謝意を示した。

「ロイター」(5月24日)によると、チャウシュオール外相はイスラエルへの訪問に先立ち、パレスチナ自治区のラマッラにおいて、パレスチナ自治政府(PA)のマフムード・アッバース議長やリヤド・アル・マリキ外相と会談したほか、エルサレムのアル・アクサー・モスクを訪問した。チャウシュオール外相は記者団に対して、「トルコのパレスチナへの支援は、トルコとイスラエルとの関係改善とは完全に独立した別個の事象だ」と述べて、PAに対して、イスラエルとの関係改善への理解を求めたことを示唆した。

(吉田暢)

(イスラエル、トルコ、パレスチナ)

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