イスラエルがギリシャ・キプロスとの3カ国首脳会議を開催

(イスラエル、ギリシャ、キプロス、トルコ)

テルアビブ発

2021年12月10日

イスラエルは12月7日、今回で8回目となるギリシャ、キプロスとの3カ国首脳会議をエルサレムで開催した。

首相府の発表によれば、キプロスのニコス・アナスタシアディス大統領とギリシャのキリアコス・ミツォタキス首相を迎えたイスラエルのナフタリ・ベネット首相は「東地中海地域の繁栄と安全、経済を守るために、われわれが一致団結して動くことがこれまで以上に重要」と発言し、東地中海地域における安全保障、経済開発に向けた3カ国の連携強化の意義を強調した。また会議後に、イスラエルとキプロス間で科学技術に関する協力協定の署名がされた(12月7日首相府外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

12月7日付「i24NEWS」によると、キプロスのアナスタシアディス大統領は、会議において「新型コロナウイルス禍」、気候変動、そして域内の危機対応における協力について議論したとしている。また会談後に同大統領は、ギリシャのミツォタキス首相とともに、当該地域におけるトルコの行動を非難したとも報じられている。

危機対応における協力の一例としては、11月3日にキプロスで開催された海上油田掘削施設および関連船舶における危機対応訓練に、イスラエルが米国、フランス、英国、イタリア、エジプトとともに参加した。通常の遭難救助や救急医療、海洋汚染対策訓練に加えて、キプロス軍と連携した対テロ対策訓練も行われたとされている(「i24NEWS」11月3日)。

トルコとイスラエルはこれまで、トルコによるイスラエルの一連のパレスチナ政策への批判に加えて、2010年にガザ沖で起こったトルコからガザに向かう人道援助船をイスラエル国防軍が攻撃した事件、さらには2018年の米国大使館のエルサレム移転をめぐって、レジェップ・タイップ・エルドアン大統領がイスラエルを強く非難して、同国大使の召還に発展するなど、対立してきた経緯がある。

他方で、12月8日付「ハアレツ」紙は、エルドアン大統領が訪問先のカタールで行った記者会見の内容を伝え、同大統領がトルコとイスラエルとの関係改善が地域の安定にとって有益とした上で、「イスラエルがパレスチナ政策、特にエルサレムとアル・アクサー・モスクについて慎重な姿勢を取ることを示せば、トルコは最善を尽くすだろう」として、イスラエルとの関係改善に意欲を示した、と報じた。エルドアン大統領はこれに先立ち、アイザック・ヘルツォーク大統領、ベネット首相と相次いで電話会談を行っていることから、関係改善に向けた方策を模索しているとみられる。

(吉田暢)

(イスラエル、ギリシャ、キプロス、トルコ)

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