ドイツ政府、2022年の実質GDP成長率を2.2%に下方修正

(ドイツ、ウクライナ、ロシア)

ミュンヘン発

2022年05月10日

ドイツ経済・気候保護省は4月27日、春季経済予測外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表し(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、2022年の実質GDP成長率を2.2%とした。ロシアのウクライナ侵攻とエネルギー価格高騰や、ロシアへの経済制裁と不確実性の高まりによる経済への影響を受け、2022年1月末に発表の年次経済報告書での予測成長率3.6%(2022年2月4日記事参照)から下方修正した。2023年の成長率は2.5%と予測した(添付資料表参照)。

同経済予測は2022年の消費者物価上昇率について、エネルギー価格の上昇による消費者物価押し上げの影響で、6.1%になるとした。連邦統計局の4月28日発表によると、4月の消費者物価上昇率(速報値)は前年同月比7.4%の上昇外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますだった。これは第2次石油危機の1981年秋以降で最大の上げ幅。同経済予測は2023年の消費者物価上昇率は2.8%と、大幅に低下するとの見方を示した。

ロベルト・ハーベック経済・気候保護相は「景気へのリスクは明らかだ。新型コロナウイルス禍が2年続いた後、今、ロシアのウクライナ侵攻が世界経済に新たな負荷をもたらしている」とし、ウクライナ侵攻による経済危機を乗り越えるために「ロシアからの輸入依存を徐々に低減させる。同時に政府は、このような困難な時期でもわれわれの経済を守るためにあらゆる手段を取っていく」と述べた。

ロシアのウクライナ侵攻開始後、ドイツでは経済見通しの下方修正が相次いでいる。政府の経済諮問委員会(通称「五賢人委員会」)は3月30日、2022年のドイツの実質GDP成長率を1.8%との予測を発表し、前回予測(2021年11月)から2.8ポイント下方修正した(2022年4月5日記事参照)。ドイツの主要経済研究所(注)が4月13日に発表した春季合同経済予測PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)でも、2022年の実質GDP成長率を2.7%と予測し(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、秋季予測(2021年10月22日記事参照)から2.1ポイント下方修正した。

(注)主要経済研究所とは、ifo経済研究所、ドイツ経済研究所(DIW)、ハレ経済研究所(IWH)、キール世界経済研究所(IfW)、RWIエッセン。

(大河原楓)

(ドイツ、ウクライナ、ロシア)

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