ハイテク部門の輸出額が全体の5割を超過、雇用や研究開発投資には課題も

(イスラエル)

テルアビブ発

2022年05月20日

「ジューイッシュ・プレス」紙は5月14日、2021年のイスラエルのハイテク部門の輸出額が、輸出額全体の50%を初めて超えたと報じた。

同記事では、イスラエル・イノベーション庁(IIA)が発表した年次報告書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を参照している。同報告書によると、2021年のハイテク部門の輸出額は約670億ドルに上り、輸出額全体の54%を占め、前年の43%から10ポイント以上増加した。また、同部門のGDPに占める割合は15.3%となった。2021年には、世界全体および日本企業によるイスラエルのハイテク部門への投資額がいずれも過去最大(256億ドル、29億ドル)を記録(2022年2月18日付地域・分析レポート参照)しており、ハイテク部門の輸出増もこうした流れに沿ったとみられる。

同報告書は、ハイテク部門の雇用についても言及している。同部門の雇用は2021年に2万7,000人増加して、合計で36万2,000人となった(注1)。雇用増加率は8%で、全体の雇用増加率の1%を大きく上回る。他方で、雇用増加がハイテク部門に集中する中で、拡大する業容から人材不足が続いている(2022年3月28日記事参照)。

またハイテク部門といっても、いわゆる「スタートアップ」の定義に当てはまる企業に雇用されているのは同部門の雇用のわずか8%で、多くはより成長した大企業に雇用されている。この点では、イスラエルで2016年以降、スタートアップの新規開業数が大幅に減少していることから、新たなイノベーションの担い手の減少を懸念する見方もある。

研究開発(R&D)投資に関しては、イスラエルは民間部門も含めた同投資のGDP比率が2020年時点で5.4%と、OECD加盟国の中で最も高い。ただし、政府による投資は、2019年時点でR&D投資全体の10%(GDP比0.5%)と、OCED加盟国の中で最も低く(注2)なっている。この点について同報告書は、イスラエルの大学と民間企業との共同研究開発の大半を、イスラエル企業ではなく、米国マイクロソフトやIBMなどの外国企業が担っていることを指摘している。また、直近2年間でイスラエルの企業の株式公開が増加するなど、スタートアップが成長して大企業化することにより、利益確保のために研究開発の方向性が保守的になり、独創性のある技術開発力が弱まることを懸念している。

(注1)イスラエル中央統計局によると、労働市場全体に占めるハイテク部門の雇用は2021年末で11.7%。

(注2)米国はR&D投資全体の20%(GDP比0.66%)、ドイツ、フランスは30%(GDP比それぞれ0.69%、0.88%)を政府が担っている。

(吉田暢)

(イスラエル)

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