2022年2~4月期の失業率は3カ月連続で悪化

(香港)

香港発

2022年05月23日

香港特別行政区政府統計処は5月20日、2022年2~4月期の失業率(季節調整済み、速報値)について、同年1月~3月期から0.4ポイント悪化の5.4%と発表した(添付資料図参照)。

業種別にみると、主要業種の多くでさらに悪化した。なかでも、新型コロナウイルス感染拡大第5波(注)の到来による防疫措置の厳格化を受け、小売・宿泊・飲食業などの個人消費や観光に関連するセクターは、2022年1~3月期から1.1ポイント上昇の10.0%と大幅に悪化した。そのうち、特に飲食業(1.9ポイント上昇の12.9%)の悪化が顕著だった。

政府労働・福祉局の羅致光局長は今後の労働市場の見通しについて、「労働市場は、今後数カ月改善がみられるだろう」との見方を示した。その要因について、「電子消費券の配布(2022年3月1日記事参照)に加え、域内の新型コロナ感染の減少と防疫措置の段階的な緩和(2022年4月20日記事参照)は、消費関連セクターのビジネスと雇用の支えとなる。雇用助成金など政府によるさまざまな救済措置も、経済的なセンチメント(市場心理)の改善や雇用維持の助けとなる」とコメントした。

香港中文大学アジア太平洋ビジネス研究所の名誉研究員である李兆波氏は、「香港は最悪期を脱し、経済は年末にかけて徐々に改善するとみている。ただし、その改善ペースは中国本土の新型コロナウイルス政策や、香港と中国本土との間の往来正常化の時期次第だ」との見方を示した(「サウスチャイナ・モーニングポスト」紙5月20日)。

(注)香港では一般的に、2020年1月の新型コロナウイルス感染拡大開始を「第1波」、同年3月中旬以降の輸入症例拡大を「第2波」、同年7月中旬以降および11月下旬以降の域内感染拡大をそれぞれ「第3波」「第4波」、2021年12月末以降の域内感染拡大を「第5波」と呼んでいる。

(野原哲也)

(香港)

ビジネス短信 647438988824d955