世界最大規模の農業技術見本市に日伯スタートアップ企業が参加

(ブラジル)

サンパウロ発

2022年05月16日

4月25日から29日にかけて、サンパウロ州で開催された世界最大規模の農業技術見本市「アグリショー2022」(2022年5月10日記事参照)に、ブラジルと日本のスタートアップ企業が参加した。

スタートアップ企業の技術紹介を目的として設置された「イノベーションアリーナ」には、農業用ドローンを製造する、ブラジルスタートアップ企業のアルパック外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが出展した。同社は、従来は人や飛行機などが行っていたサトウキビ畑などの農薬散布を、ドローンで代替するソリューションを提供している。ドローンを活用して必要な箇所に的確に農薬を散布することで、農薬使用量を最小限に抑え、かつ、ヘビなどが潜む可能性のあるサトウキビ畑に人が深入りする必要がなくなるため、安全な農作業が可能になる。

アルパックは、2018年にはブラジル・ベンチャー・キャピタル(BVC、注)から、2019年には日本のドローンファンドから(公式リリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、2022年にはヤマハ発動機から(公式リリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の出資を受けている。

ジェトロが「アグリショー2022」で4月26日に、同社のエドゥアルド・ダ・コスタ・ゴエル最高経営責任者(CEO)に自社の強みをインタビューしたところ、「農薬散布は農家にとってタイミングが重要な農作業。遅れてはならない。そのため、アルパックはさまざまな種類のドローンの可用性を高め、継続的なメンテナンスを行うことにより故障しにくくなっている。万が一ドローンが故障したとしても、アルパックの修理・オペレーションチームによって速やかに修理できる構造となっている。このため、農家が計画する作業ニーズに応えるソリューションとなっている」との回答を得た。

日本からは、北海道で創業した農業情報設計社外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの執行役員(CMO:チーフマーケティングオフィサー)の渡邉広明氏とセールス・マーケティングを担当する加藤拓氏の2人が「アグリショー2022」を訪問した。

同社は、スマートフォンやタブレットをモニター画面とするGPSガイダンスシステムを通じて、トラクターの正確な走行をサポートするアンドロイド向けのアプリケーションを提供している。同アプリで、トラクターをまっすぐ・等間隔に走らせることで、例えば農薬散布などの農作業を、無駄なく効率化できる。ジェトロが4月30日に加藤氏と渡邉氏に「アグリショー2022」への参加理由を確認したところ、「同アプリケーションは140カ国以上で利用されているが、ブラジルからのダウンロード数(約100万件)が世界最多となっている。引き続きブラジルの農業市場の成長可能性を理解する必要があった」との回答を得た。

(注)BVCは、日本人の中山充氏が代表を務め、ブラジルのスタートアップ企業に投資実績のあるベンチャーキャピタル(VC)。

(古木勇生)

(ブラジル)

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