マクロン大統領、プーチン大統領との対話再開に前向き

(フランス)

パリ発

2022年05月06日

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は4月25日、フランス大統領選で再選を決めた(4月26日記事参照)エマニュエル・マクロン大統領に対し、「国務の成功と健康を心より祈念する」と祝意を表明した(同日付AFP通信)。マクロン大統領は4月初めにウクライナのブチャでのロシア軍による住民虐殺が伝えられてから、プーチン大統領と会談を行っていない。大統領選挙の運動に集中したこともあるが、「ブチャ以降、ウクライナ戦争はこれまでと違った局面に入った」との認識があるからだ(4月18日付国営テレビ・フランス5のインタビュー番組)。

マクロン大統領は同番組で、プーチン大統領の選択と責任において戦争犯罪が行われたことは明らかであり、プーチン大統領との関係は戦争以前の状態に戻ることはないと言明しつつ、欧州の平和はロシアとの対話なしには成立せず、停戦後を見据え、EUはロシアとの協議を続けていかなければならないと述べ、プーチン大統領との対話再開に前向きな姿勢を示した。EUがロシアとの対話を停止し、停戦後、ロシアとの交渉がトルコや中国など第三国の手に渡ることを避けたいとの考えがあるようだ(4月22日付ラジオ放送フランス・アンテール)。マクロン大統領はEUによる対ロシア追加制裁については、天然ガスを含むロシア産エネルギー源の全面輸入禁止を支持している(4月18日付フランス5)。

ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領とは対話を続け、「状況の進展に役立つのであれば」ゼレンスキー大統領の求めに応じてキエフを訪問する方針を示している(4月18日付フランス5)。フランスはこれまでに、参戦と捉えられない範囲で武器や銃弾など1億ユーロ以上の軍事支援をウクライナに対し行ったが(4月13日付軍事省プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、今後もウクライナの要請に応じて追加支援を行う予定だ。フロランス・パルリ軍事相は4月22日、自身の公式ツイッターで、マクロン大統領が複数の自走砲「カエサル」(注)と数千発の砲弾をウクライナに供与することを承認したと発表した。

ジャン=イブ・ル・ドリアン外相は4月25日、マクロン大統領の再選後初めて、ウクライナのドミトロ・クレバ外相と会談し、フランスが継続してウクライナを支援していくことを伝えた(フランス外務省プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

(注)軍用トラックに長砲身の155ミリ榴弾砲を組み合わせた自走砲

(山崎あき)

(フランス)

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