2月の輸出入は好調、ダブリン港の貨物量も増加

(アイルランド)

ロンドン発

2022年05月02日

アイルランドの2月の貿易は、輸出が前年同月比28%増の161億1,200万ユーロ、輸入は同31%増の99億7,100万ユーロだった〔中央統計局(CSO)4月14日発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、注〕。

品目別にみると、輸出では、最大品目の医療・医薬品が同29%増の58億8,700万ユーロ、有機化学品が39%増の33億5,300万ユーロだった。輸入では、最大品目の有機化学品が43%増の8億4,600万ユーロ、鉱物性燃料は3.4倍の7億4,900万ユーロと大幅に伸びた。

 最大の輸出先であるEUへの輸出額は、前年同月比36%増の63億1,600万ユーロで、全輸出の40%を占めた。EU域外では、米国が同13%増の48億2,600万ユーロで、国別で最大。英国は29%増の13億8,700万ユーロ。輸入に占めるEUの割合は同20%増の26億6,300万ユーロで、全輸入の31%を占めた。EU域外では、最大の輸入先である英国が69 %増の19億2,500万ユーロとなった。

英国との内訳をみると、輸出ではグレートブリテン島(GB)向けが同21%増の10億2,500万ユーロ、北アイルランド(NI)向けが57%増の3億6,200万ユーロ、輸入では、GBからが同84%増の15億800万ユーロ、NIからが32%増の4億1,600万ユーロだった。なお、チャーリー・マコナローグ農業・食品・海洋相は、食品事業者や農産物輸出業者に対し、7月1日から順次開始される英国の新たな輸入規制の準備に重点的に取り組むよう促している(2021年11月26日記事参照)。

ダブリン港も4月20日、2022年第1四半期(1~3月)の同港の貨物量を発表。輸入は前年同期比14.2%増の540万トン、輸出は同12.8%増の350万トンとなった。イーモン・オライリー最高経営責任者(CEO)によると、英国のEU離脱(ブレグジット)に伴う移行期間終了の影響で2021年第1四半期は貨物量が大きく低迷したとし、その反動で2022年第1四半期は回復したとしている。

新たな貿易・投資戦略を発表

レオ・バラッカー副首相は4月12日、新たな貿易・投資戦略 「Value for Ireland, Values for the World」を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。過去10年間で同国の貿易は3,100億ユーロから8,400億ユーロと約2.7倍に拡大、また、雇用の半数の130万人は国際貿易・投資で支えられており、同国の経済成長の源となっている。一方、新型コロナウイルス感染拡大や、ブレグジット、国際的な税制改革、二酸化炭素(CO2)排出量削減に向けた施策の必要性、ロシアのウクライナ侵攻などが貿易に大きな混乱をもたらしていると分析。これらの課題への対処のため、同戦略では、同国の貿易・投資エコシステムの促進・強化、国際的なバリューチェーンとサプライチェーンに同国を位置づけること、EU単一市場による恩恵の享受などの優先事項を設定し、貿易・投資評議会が戦略の実施状況を監督するとしている。

(注)季節調整済み。前年同月比の伸び率は季節調整前の値で比較。品目別と国・地域別の金額については、前年同月比の比較をするため、季節調整前の値を記載している。

(島村英莉、尾関康之)

(アイルランド)

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