医薬品や医薬品原材料の輸入代金支払いに係る資本取引規制を緩和

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2022年05月20日

アルゼンチン中央銀行は5月5日、中銀通達A7507PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公布し、医薬品や医薬品原材料の輸入代金の支払い条件を緩和した。

現在、輸入許可(通称SIMI)には以下のとおりA、B、Cの3つのカテゴリーが存在している(2022年4月14日記事参照)。2020年および2021年の輸入実績や品目に応じてそれぞれのカテゴリーに分類され、カテゴリーによって、輸入代金の支払い時期が異なる。アルゼンチン政府は、外貨の流出を抑える目的で、中銀が3月3日に公布した中銀通達A7466PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、4月7日に公布した中銀通達A7488号PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)などにより、同ルールを施行している。

  • カテゴリーA:2021年のFOB輸入額の105%、あるいは2020年のFOB輸入額の170%のいずれか少ない方の金額の範囲内で行われる輸入が該当。輸入代金の送金は通関後。
  • カテゴリーB:カテゴリーAの上限を超えた輸入が該当。輸入代金の送金は通関から180日後以降。
  • カテゴリーC:食品、鉱物、燃料油など特定の原材料の輸入が対象。2021年のFOB輸入額の105%、2020年のFOB輸入額の170%のうち、大きい額と小さい額の差額が輸入枠。この枠内の輸入については通関後の支払いが可能。また、物価高騰を抑制することを目的とした連邦政府との価格協定への参加を拒否せず、これを順守していることを宣誓供述するといった政府への協力等が条件となる。

今回の通達により、メルコスール対外共通関税番号〔NCMコード(注)〕の28類、29類、30類の一部の品目(添付資料表参照)で医薬品または医薬品原材料として使用されるものは、カテゴリーに関わらず通関から180日を待つことなく支払いができるようになった。

4月20日付け現地紙「ラ・ナシオン」(電子版)によると、製薬業界は中銀に対し、医薬品の供給が滞る可能性を伝え、医薬品、医薬品原材料の輸入代金決済の規制緩和を訴えていた。同様の訴えは自動車産業からも中銀に対して寄せられている。5月6日付けの同紙電子版では、エネルギー分野の輸入代金決済の規制緩和も検討されていると報じている。

(注)8桁で構成されるメルコスール共通関税番号で、上6桁はHSコードと同じ。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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