原材料輸入と物価の抑制を念頭に、新たな資本取引規制を導入

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2022年04月14日

アルゼンチン中央銀行は4月7日、中銀通達A7488号PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公布し、輸入許可申請(通称:SIMI申請)に新たなカテゴリーを追加した。これにより、特定の原材料について、輸入代金の外国送金の要件を緩和したが、適正水準を超える在庫を持たずに、連邦政府との価格協定に応じることを条件としていることから、輸入と物価の抑制を狙った措置とみられる。

写真 アルゼンチン中央銀行(ジェトロ撮影)

アルゼンチン中央銀行(ジェトロ撮影)

中銀は3月3日、SIMIの申請にカテゴリーA、カテゴリーBの2つのカテゴリーを設けていたが、今回、新たにカテゴリーCを導入した(2022年3月14日記事参照)。各カテゴリーの概要は以下のとおり。

カテゴリーA:2021年のFOB輸入額の105%、あるいは2020年のFOB輸入額の170%のいずれか少ない方の金額の範囲内で行われる輸入が該当。輸入代金の送金は通関後。

カテゴリーB:カテゴリーAの上限を超えた輸入が該当。輸入代金の送金は通関から180日後以降。

カテゴリーC:食品、鉱物、燃料油など特定の原材料の輸入が対象。輸入代金の送金は通関後。外部監査人を通じて原材料、最終製品の在庫が適正水準であることを証明すること、物価抑制を目的とした連邦政府との価格協定への参加を拒否せず、これを順守していることを宣誓供述することが条件。

カテゴリーCの対象となる品目は、メルコスール共通関税分類番号(NCM)で示されている(添付資料表参照)。具体的には、コーヒー、麦芽、カカオ豆、ココアペースト、カカオ脂、ココア粉、油脂、鉄鉱、鉱物性燃料、プラスチック、天然ゴム、合成ゴム、ウッドチップ、木炭、木材、天然コルク、化学木材パルプ、銑鉄、フェロアロイ、銅、ニッケル、アルミニウム、鉛、錫。

一連の規制は自動輸入ライセンスの品目を対象としており、非自動輸入ライセンス品目、資本財などは従来どおり、通関後の支払いが可能となっているが、SIMIの承認自体が下りにくい状況にある。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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