IEA、2022年の再エネ年間新規導入容量を初の300GW超と予測

(世界)

国際経済課

2022年05月18日

国際エネルギー機関(IEA)は5月11日、再生可能エネルギー市場報告(2022年5月)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。IEAによると、世界全体の再生可能エネルギー発電設備の、2022年の新規導入容量(ネット)は319.0GW(ギガワット)で、過去最大となった2021年の294.2GWから8.4%増加し、年間の新規導入容量として、初めて300GWを超える見通しだ(添付資料表参照)。

電源別にみると、全体の約6割を占める太陽光発電が前年比24.8%増の188.6GWだった。うち、117.5GWが大規模太陽光発電で、特に中国およびEUにおける政策支援が後押しするとみられる。次いで、約3割を占める風力発電は5.2%減の89.4GWだった。陸上風力発電が5.1%増と拡大した一方、洋上風力発電は中国における新規プロジェクト向けの補助金終了に伴い、前年比40.6%減となる見込みだ。また、2022~2023年の風力および太陽光発電の導入コストは、風力発電タービンや太陽電池モジュールなどの設備コストの増加などが影響し、パンデミック前の水準より高いまま推移するが、天然ガスおよびその他化石燃料価格の高騰により競争力を維持すると予測した。

国・地域別にみると、中国が前年比10.1%増(148.4GW)で、世界全体の46.5%を占める。中国の容量増加の背景には、2030年までに風力および太陽光の発電設備容量を1,200GWとする政府目標がある。中国政府は、技術進歩による発電コストの低下などを理由に風力および太陽光発電の新規プロジェクト向け補助金を2021年8月までに終了したが、買い取り価格の基準をより明確な石炭火力発電ベンチマーク価格に変更するなど、投資促進を図る(2021年6月17日記事参照)。EUも14.2%増(41.7GW)と容量拡大を見込む。EUはロシアのウクライナ侵攻を受け、天然ガス輸入における対ロシア依存度(2021年時点で45%)を低減し、再生可能エネルギーの容量拡大を加速させる方針を示している。

他方、米国における新規導入容量は12.6%減(31.8GW)と低迷する見込みだ。背景には、(1)新たな優遇措置の承認の遅れ、(2)中国・新疆ウイグル自治区に所在する企業からの太陽光パネル原料の輸入差し止め(2021年6月25日記事参照)、(3)東南アジアから輸出される中国製の部品を使用した太陽電池セルの輸入関税調査の実施などがある。

2023年は、太陽光発電の容量拡大が予測される一方で、水力発電や風力発電は減少傾向で、全体では2022年と同水準の316.6GWの見通しとなった。

(田中麻理)

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