低公害車への買い替え支援、2023年からゼロ金利ローンの実証実験を実施

(フランス)

パリ発

2022年05月24日

フランスのエコロジー移行省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは5月17日、大気汚染物質の濃度が高い地域を対象に設定する「低排出モビリティーゾーン」に居住する低所得世帯、または同地域で活動する零細企業を対象に、2023年1月から2年間にわたり、低公害車への買い替え支援としてゼロ金利ローンの実証実験を実施するデクレ(政令外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)が4月24日に官報に掲載されたと発表した。

同措置は2021年8月に公布された「気候変動対策・レジリエンス強化法」(2021年12月6日付地域・分析レポート参照)に盛り込まれていた(107条)。低排出モビリティーゾーンを含む、または同ゾーンに接する市町村行政連合体(注1)に居住する低所得世帯(世帯人員1人当たりの課税所得水準が1万4,000ユーロ以下)、または同地域で事業を行う零細企業(注2)が走行距離1キロ当たりの二酸化炭素(CO2)排出量が50グラム以下で重量が2.6トン未満の乗用車や小型トラックを購入、またはリースする際に利用できる。

既存の低公害車取得支援(2020年12月10日記事参照)との併用も可能で、融資額の上限は、購入の場合は3万ユーロ、リースの場合は1万ユーロとなるが、取得費用から公的支援額を差し引いた額を超えてはならない。

2019年12月に制定されたモビリティー・オリエンテーション法外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにより、地方自治体は大気環境保全に向けて低排出モビリティーゾーンを設定し、一定の排ガス基準を満たしていない車両の運行を規制できるようになった。低排出モビリティーゾーンは現在、グラン・パリ(パリを含むパリ首都圏)、グルノーブル、リヨン、ニース、ルーアン、ストラスブール、トゥールーズ、ランス、サンテティエンヌの9つのメトロポールで設定されている。気候変動対策・レジリエンス強化法は2024年末までに人口が15万人を超える全ての都市(新たに33都市)に同ゾーンの設定を義務付けている。

(注1)フランスの地方行政は地域圏、県、市町村(コミューン)、複数の市町村からなる「市町村広域連合体(intercommunalité)」で構成する。市町村広域連合体は人口要件や権限などにより「メトロポール(métropole)」「大都市共同体(communauté urbaine)」「都市圏共同体(communautés d’agglomération、)」「コミューン共同体(communautés de communes)」に分かれる。

(注2)2014年6月17日付欧州委員会規則 No 651/2014の付属書Ⅰの規定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに基づき、従業員数が10人未満で、年間の売上高または賃借対照表の合計額が200万ユーロ未満の企業。

(山崎あき)

(フランス)

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