UNDPタイ事務所、日系企業の人権デューディリジェンスを支援へ

(タイ、日本)

バンコク発

2022年05月18日

国連開発計画(UNDP)タイ事務所と在タイ日本大使館は5月11日、タイにおける「ビジネスと人権(B+HR)グローバルプロジェクト」のローンチイベントをバンコク市内で共催した(UNDP外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます発表、在タイ日本大使館外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます発表)。UNDPは日本政府の支援を受け、タイなど17カ国で責任ある企業行動、グローバルサプライチェーンにおける人権デューディリジェンス(HRDD)を促進する。

写真 バンコク市内で開催されたローンチイベント(ジェトロ撮影)

バンコク市内で開催されたローンチイベント(ジェトロ撮影)

UNDPタイ事務所は1年間にわたり、在タイ日系企業や、タイのサプライヤーを通じて事業を行う日本企業などのHRDDを支援する。企業、サプライヤー、パートナーの風評リスク、事業運営上のリスクが適切に管理されるよう、HRDDを実施する能力を強化し、日本企業やタイ企業の世界市場における競争力の維持を促す。

UNDPタイ事務所のルノー・メイヤー常駐代表は「世界的に人権コンプライアンス意識が高まる中、企業のみならず、サプライチェーン全体でのHRDDの重要性が増している」と述べ、企業のビジネス慣行を国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」(UNGP)と一致させるタイの取り組みを支援し、タイ企業や外資企業の労働者の権利尊重を推進するとした。

在タイ日本大使館の大場雄一次席公使は、タイはアジアで初めてUNGPに基づく「ビジネスと人権に関する国別行動計画(NAP)」を策定した国だとして、タイ進出日系企業としてもHRDDに取り組むことで「企業の評価とパフォーマンスを強化することにつながる」とした。

パネル討論に参加したジェトロの田中晋主任調査研究員は「在タイ日系企業の46.2%がサプライチェーンの人権問題を経営課題として認識、38.7%がサプライチェーンの人権尊重に関する方針を策定済み」とするアンケート結果を紹介。特に中小企業では、リソースの問題から「個々でHRDDに取り組むのはハードルが高い」としつつ、例えば、電気・電子業界の労働者保護の行動規範「レスポンシブル・ビジネス・アライアンス(RBA)」など、国際的な枠組みの活用を推奨した。

なお、ジェトロとUNDPは2018年にアジア大洋州地域におけるSDGs達成に向けた覚書を締結しており、今後も日系企業のHRDD支援などでUNDPと協力していく。

(北見創)

(タイ、日本)

ビジネス短信 3b8efdf63f2ba16c