総合的な車検制度の導入に向けたメキシコ公式規格(NOM)を官報公示

(メキシコ)

メキシコ発

2022年05月17日

メキシコ経済省は5月3日、車両総重量3,857キロ以下の自動車に対する物理的・機械的安全基準を定めるメキシコ公式規格(NOM-236-SE-2021)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを官報公示した。同規格は総合的な車検制度の全国的制定を視野にいれたものであり、官報公示から180日後の10月30日に発効する。

メキシコでは、シートベルトやバックミラー、エアバッグなど最低限の安全装備に関する公式規格(NOM-194-SCFI-2015、2016年5月23日記事参照)は存在するが、全体的な車両安全規格は強制規格としては存在しなかった。また、メキシコ市首都圏などでは排ガス検査制度があり、半年もしくは1年に1度などの頻度で排ガス検査を受け、検査に合格しなければ走行ができないが、排ガス検査以外に、総合的な車両の物理的・機械的な安全基準を満たしているかどうかを検査する制度がない。

公布されたNOMによると、自家用車については、新車としての販売日から4年後に最初の車検を行い、その後9年目までは2年に1度、10年後以降は毎年実施することになる。公共交通機関などに利用する車両や貨物・従業員輸送用など業務用車両については、車検を毎年実施する。車検は、(1)外観(車体・シャーシ)、(2)インテリア・内装、(3)照明機器、(4)ブレーキ系統、(5)ステアリング系統、(6)サスペンション系統、(7)エンジントランスミッション、(8)ガス燃料車の場合は燃料タンク・配管系統について、自動車販売ディーラーや修理工場など関連業界の任意規格であるNMX-D-228-SCFI-2015年に準拠した検査を行うこととなっている。NOM発効後、連邦政府あるいは州政府が車検プログラムを策定し、具体的な車検のプロセスを制定することとなる。

自動車ディーラー協会は違法輸入中古車の取り締まりに期待

車検制度の導入により、検査に合格できない古い車の買い替えが進むとみられ、新車販売にとっては追い風になることが期待される。また、アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール現政権下で進められている違法輸入中古車の合法化を認める政令(2022年3月2日記事参照)の影響により違法中古車が今後増えることが想定され、新車や合法的な中古車の市場に悪影響を与えることが懸念されている中、メキシコ自動車ディーラー協会(AMDA)のギジェルモ・ロサレス会長は、中古車も対象となる同車検制度が違法中古車の取り締まりに寄与することを期待している(2022年5月13日付現地紙「レフォルマ」)。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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