ラオス、ガソリン不足が深刻化

(ラオス)

ビエンチャン発

2022年05月12日

ラオスでは、5月8日頃から首都圏でガソリンの供給が困難になっており、多くのガソリンスタンドが閉鎖している(2022年5月12日記事参照)。一部の営業しているガソリンスタンドには多くのドライバーが詰めかけ、1台あたりの販売額に上限を設ける不安定な営業を継続している。ラオスでは通常、月間1億2000万リットルの石油の輸入が必要であるが、現在、輸入業者はその50%未満しか調達できていない(「ビエンチャン・タイムス」2022年5月10日)。

このような深刻化するガソリン不足問題に対し5月10日、カムペーン・サイソムペーン商工相は記者会見を行った。カムペーン商工相は、今回のガソリン不足の主な原因として(1)「新型コロナ禍」で影響を受けた石油輸入会社の経営が厳しく資金不足に陥っていること、特に外貨調達に困難が生じていること、(2)実際の石油調達額と公定価格算出に用いる参考CIF価格に差があり販売差損が出るケースがあること、(3)価格上昇を狙った売り惜しみが生じていることが挙げられると説明した。解決策として、(1)政府は商業銀行から石油輸入会社への外貨供給を最優先として行わせること、(2)外貨調達を困難にしている現地通貨キープと国際通貨との為替レートにおける公定レートと違法な市中レートの差を縮小させること(2021年9月4日記事参照)、(3)ガソリンの公定価格算出に使用する参考CIF価格を15日平均値から7日平均値に短縮し価格差を抑えることを挙げた。また、政府は既にガソリンの小売価格を抑えるために物品税率を引き下げたが、必要があれば他の税や基金の引き下げを検討するとともに、石油輸入会社の認定事業者(AEO)制度(注)への参加を推進し貿易円滑化を進めることでコスト削減に努めるとした。

同日に開催された、ラオス燃料ガス協会会議では、シーサンコム・コートニョター会長は、「2021年の『新型コロナ禍』に多くの石油輸入会社や販売会社が打撃を受けた上に、最近の世界的な石油価格の高騰や外貨不足がビジネスの遂行に大きく影響を与えている」と説明し、政府の支援を要請した。

写真 営業を続ける都内のガソリンスタンド、比較的秩序が保たれている(5月11日、ジェトロ撮影)

営業を続ける都内のガソリンスタンド、比較的秩序が保たれている(5月11日、ジェトロ撮影)

(注)AEO制度は、関税法令を順守し、貨物のセキュリティー管理とコンプライアンスがしっかりしている優良事業者に対し、通関手続きの簡素化などの便宜を与える仕組み。

(山田健一郎)

(ラオス)

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