ガソリン、ディーゼルへの物品税を減税へ

(ラオス)

ビエンチャン発

2022年05月12日

ラオス国会常任委員会は5月9日付で石油価格の安定化のため、物品税を原則3カ月間引き下げる時限立法を発布し、即日施行された。今回の措置で、ディーゼルの物品税率は21%から11%へ、ガソリンは31%から16%へと減税される。ハイオクは40%に据え置かれる。

ラオスでは近年の世界的な石油価格の高騰と、現地通貨キープ安の影響を受け、5月9日時点で、ガソリン価格は1リットルあたり1万8,060キープ(約189円、1キープ=0.0105円)(前年同日比1.8倍)、ディーゼル価格は1万8,000キープ(同2.1倍)に上昇している。インフレも大きく進行し、4月には前年同月比9.9%に達した(「ビエンチャン・タイムズ」5月9日)。今回の物品税の減税により、CIF価格が同じであればガソリン価格は11%、ディーゼル価格は8%程度値下がりすることとなるとみられる(注)。

ラオス政府は国民生活への負の影響が懸念されるとしてインフレ対策に注力しており、5月6日には「石油価格安定化措置に対する首相指示に関する首相府令(No.621/PMO)」を発布した。同首相令にて、石油の調達を個別の企業が行うのではなく、ラオス燃料公社などの一部の企業で石油会社を設立し、一括調達を行うことで価格交渉力を持たせること、さらにはロシア産石油の調達を交渉するように指示した。同時に、財務省とラオス中央銀行に対して為替レート管理を強化し、石油の安定的調達のための外貨を十分に確保するように指示した。

このような中、5月8日には首都ビエンチャンでガソリンの供給が不足し始め、多くのガソリンスタンドが閉鎖し、販売を続けているガソリンスタンドに人が詰めかける事態が生じている。

写真 ガソリン不足の中、多くの人が詰めかけた首都のガソリンスタンド(5月9日、ジェトロ撮影)

ガソリン不足の中、多くの人が詰めかけた首都のガソリンスタンド(5月9日、ジェトロ撮影)

(注)現在のラオスの石油小売価格はCIF価格に、関税(ガソリン15%、ディーゼル5%)および物品税を掛け、これに道路基金(520キープ)、輸入者・販売者利益(576キープ)を加算し、最後に付加価値税7%を掛け合わせて算出している。小売価格は都・県別に公定価格が定められている。

(山田健一郎)

(ラオス)

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