インフレの加速で最低賃金の引き上げを前倒し

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2022年05月25日

アルゼンチン労働・雇用・社会保障省は5月11日、同省決議第6/2022号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公布し、3月16日に合意していた段階的な最低賃金の引き上げ(2022年3月28日記事参照)を前倒しした。即日施行した。2022年8月に月額4万5,540ペソ(約4万9,183円、1ペソ=約1.08円)となる予定だった最低賃金を6月1日から、12月に月額4万7,850ペソとなる予定の最低賃金を8月1日から引き上げるべく、予定を前倒しした。

決議第6/2022号によると、最低賃金額は以下のとおり。

  • 2022年6月1日以降:月額4万5,540ペソ、時給の場合は227.70ペソ
  • 2022年8月1日以降:月額4万7,850ペソ、時給の場合は239.30ペソ

今回の労働省の決定は、3月と4月のインフレの加速(2022年5月23日記事参照)により、与党内から最低賃金の引き上げを急ぐべきとの声が上がっていたことを踏まえ、その要請に応えるかたちとなった。また、アルゼンチン労働総同盟(CGT)は「労働者の購買力を確保するために、賃上げ交渉は必要不可欠なツール」だとし、労働省の決定を歓迎した(現地紙「クラリン」電子版5月11日)。

業種別の賃上げ交渉では、最低賃金の引き上げ率を上回る60%前後の賃上げで合意しているため、政府、労働組合、経営者団体により構成される国家雇用・生産性・最低賃金評議会は、8月に再び最低賃金の引き上げを協議する予定だ

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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