華東地域各地、市をまたぐ移動は引き続き制限

(中国)

上海発

2022年05月24日

4月1日の中国・上海全市の封鎖管理の開始から1カ月半以上が経過した。華東地域日商倶楽部懇談会(注)は、前回(2022年4月12日記事参照)に引き続き、構成する日商クラブに対し、5月9~17日に各地のコロナ対策および影響を確認、20日に結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますをまとめた。

上海に隣接する江蘇省や浙江省、安徽省では外出規制や工場の操業停止、外出社規制などが行われたが、現在では市内で完結する活動や市民生活はやや抑制的ながらも平常化している地域が多い。しかし、物流面では市を跨ぐ移動に対して通行証の取得や度重なるPCR検査要求が課されているほか、各地の封鎖管理により取引先の操業が停止しているケースもあり、現時点においても進出日系企業の事業活動に影響が出ている。

上海市では4月中旬に1日当たり約2万7,000人の新規感染者が報告されたが、1カ月かけて約800人まで減少。隣接する江蘇省蘇州市、昆山市、太倉市、張家港市などでも一時感染が広がり、外出規制や工場の操業停止、出社規制などが行われたが、5月に入って鎮静化している。一方、江蘇省江陰市では5月2日から感染が広がり始め、13日までに約450人の感染が報告されている。

人的移動について、上海市では厳しい外出制限が残り、居住区内からの外出が禁じられるか、外出できても同一街道内の移動が限定的に認められるのみとなっている(週2回、1回3時間など地区により異なる)。江蘇省では、4月にロックダウンに準ずる規制が敷かれた昆山市、太倉市、南通市、張家港市では外出制限が撤廃されたが、感染が広がる江陰市では逆に、3日に1回のみの外出制限が敷かれている。

中国国内物流については、すべての地域で運送トラックに対し、事前許可や登録、PCR検査結果の提示など、何らかの制限を設けており、物流停滞の要因となっている。許可発給数が絞られていることもあり、中小企業への影響を懸念する地域もある。上海との往来では運転手が隔離対象になる地域も残っており、依然として強い制限が存在していることから、輸送価格が高騰する状況も残っている。

国際物流についても、上海市の物流機能の低下を踏まえ、他の港(空港)に迂回する動きが見られるが、代替港(空港)でも混雑が目立つとの回答もみられた。

工場の操業状況は、全体的に稼働しているものの、物流の停滞に加え、操業制限が広がった地域(上海市、蘇州市周辺など)に取引先がある企業は影響を受けている。オフィスへの出勤は、上海市や許可が必要な江蘇省江陰市、張家港市を除けば、出勤可能の地域が多い。ただし、移動履歴などをチェックする健康QRコードを利用する地域が多いほか、江蘇省蘇州市では、オフィスへの入館に当たり72時間以内のPCR陰性証明を求めている。

そのほか、上海市、江蘇省、浙江省、安徽省の多くの地域で、2~3日に1回の頻度で全市民を対象にPCR検査を実施している。陰性証明がないと、公共交通機関の利用ができないなどの制限が課せられている。

(注)上海市、江蘇省、浙江省、安徽省内の日商クラブ、日本人会など計21団体を構成員とする集まり。ジェトロ上海事務所が事務局を務める。

(岸本優子)

(中国)

ビジネス短信 0ae642933fa87584