華東地域に新型コロナ感染の影響拡大、上海の封鎖管理に伴うサプライチェーンへの影響を懸念

(中国)

上海発

2022年04月12日

中国・上海での新型コロナウイルス感染急拡大が、隣接する江蘇省や浙江省、安徽省にも影響を及ぼしている。華東地域日商倶楽部懇談会(注)は、構成する日商クラブに対し、4月8~11日に各地の新型コロナウイルス感染対策および影響を確認、12日に結果をまとめた添付資料表参照

現在、上海市は全市が封鎖管理の対象となり、市民は一切の外出が認められず、オフィスや工場はほぼ全て稼働停止している(2022年3月29日記事2022年4月1日記事2022年4月7日記事参照)。隣接する江蘇省昆山市や太倉市、南通市でも厳しい封鎖措置が取られ、オフィスや工場は原則として閉鎖、自宅からの外出は2日に1回に限られるなど、行動が大きく制限されている。

都市をまたぐ人的往来も、非常に困難となっている(2022年4月8日記事参照)。江蘇省蘇州市や無錫市は、上海を含め、感染が拡大している地域からの渡航者に対して、原則として7日間の外出禁止、およびその後7日間の健康観察を義務付けている。常熟市は上海からの移動を禁止している。浙江省の措置も同様に厳しく、上海市から杭州市に渡航すると14日間、嘉興市や平湖市に渡航した場合は7日間の外出禁止を義務付けている。

交通・物流については、13の団体から、所在地域の高速道路の一部もしくは全部が封鎖されているとの回答があった。状況が「平常通り」の地域でも、検温や健康コードなどの提示、車両検査が必要だという。

中国国内における上海以外の地域との物流については、昆山や無錫で高速道路の封鎖など通行制限が生じているとの声があった。「平常通り」と回答した地域でも、トラック運転手の48時間以内のPCR検査の陰性証明や事前申請が必要とする地域が多く、何らかの対応が必要な状況となっており、物流への影響が懸念されている。

また、上海との物流に関しては条件付きで許可されている地域はあるものの、上海の高速道路が全面封鎖されている状況だ。さらに、厳格な政府からの指示事項に加え、トラック手配の困難や運転手不足により、モノの輸送に大幅な遅延が生じている。

国際物流については、上海の封鎖管理に伴い港湾や空港では荷役作業が実施されているものの、トラックの出入や手配ができないとの回答が寄せられた。周辺地域などへの振り替え輸送も混雑が生じており、輸送価格も高騰しているという。

現在、封鎖管理となっていない地域でも、省外の企業を含むサプライチェーンを通じた混乱の波及や、工場停止、プロジェクトの遅延が懸念されている。また、感染が限定的な地域でも、複数回のPCR検査実施や、スーパー・コンビニなどの品薄状態が続くなど、市民生活に影響が生じつつある。

(注)上海市、江蘇省、浙江省、安徽省内の日商クラブ、日本人会など計20団体を構成員とする集まり。ジェトロ(上海事務所)が事務局を務める。

(岸本優子)

(中国)

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