ジェトロ、米国西海岸の港湾の最新動向セミナーを開催

(米国)

ロサンゼルス発

2022年04月15日

ジェトロは3月30日、「米国西海岸の港湾の最新動向」と題したオンラインセミナーを開催した。ロサンゼルス港やロングビーチ港など米西海岸の港湾の最新状況について、元ロサンゼルス港湾局職員でジェトロ・ロサンゼルス事務所の物流アドバイザーを務める森本政司氏が解説した。米国の物流事情には米内外で関心が高まっており、730人を超える日本企業関係者がセミナーを視聴した。

新型コロナウイルス禍でサプライチェーンの世界的な混乱が続いており、2021年のコンテナ取扱量は、ロサンゼルス港が約1,068万TEU(20フィートコンテナ換算)、ロングビーチ港が約938万TEUと、いずれも過去最高を記録した。また、全米小売業協会(NRF)と物流コンサルタント会社のハケット・アソシエイツは米国小売製品の主要輸入港(注)における2022年上半期の輸入コンテナ量を前年同期比1.5%増の1,300万TEUと予測しており、今後のコンテナ取扱量は引き続き高水準で推移すると見込まれる(2022年2月15日記事参照)。

セミナーでは、太平洋海事協会(PMA)と国際港湾倉庫労働組合(ILWU)との労使交渉の行方やウクライナ情勢による物流への影響、今後の見通しについて多数の質問が寄せられた。

労使交渉について森本氏は、中間選挙やウクライナ情勢、金利高、インフレなど問題が山積する中で、バイデン米政権による早期の積極的な介入の可能性を指摘した。

ウクライナ情勢による物流の影響については、ロサンゼルス港やロングビーチ港のロシアとの貿易量は2万TEU程度と全体の1%程度にすぎないと指摘しつつ、経済的あるいは社会的な経路を通じた間接的な影響の波及について注意が必要とした。

今後の見通しでは、3月29日時点で42隻だったロサンゼルス港とロングビーチ港への入港待ちコンテナ船の数が、旧正月が明けた中国の輸出活動再開に伴い、4月から5月のピークシーズンに向けて再び100隻を超える水準まで増加し、夏ごろまで状況が改善しない可能性を指摘した。その上で企業には「ジャスト・イン・タイム」を目指すのではなく、「ジャスト・イン・ケース(万が一の事態に備えること)」を念頭に、可能な限り早めの出荷や在庫の確保するように促した。

このセミナーは、ジェトロ・ウェビナーのページでオンデマンド配信中。説明資料もダウンロード可能。

(注)主要輸入港には、米国西海岸のロサンゼルス/ロングビーチ、オークランド、シアトル、タコマ、東海岸のニューヨーク/ニュージャージー、バージニア港、チャールストン、サバンナ、エバーグレーズ港、マイアミ、ジャクソンビル、メキシコ湾岸のヒューストンの各港が含まれる。

(永田光)

(米国)

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