マイナビ、インドのIT技術研修スタートアップ2社に出資

(インド、日本)

ニューデリー発

2022年04月15日

マイナビは3月31日、インドの大学生や大学卒業生に対して実務的なIT技術研修と就職支援サービスを提供するインド発スタートアップ2社に出資したと発表した。今回出資したのは、2018年設立のアキオジョブ(ACCIOJOB)と2020年設立のクアンタムビットテクノロジーズ(QUANTUMBIT TECHNOLOGIES)。いずれも首都ニューデリー近郊のグルグラムに事業拠点を持つ企業だ。

両社が提供するIT技術研修は、基本的に最初は学費を支払うことなく受講することができる。受講者は就職後にノンバンク金融会社(NBFC、注)で学費を支払うためのローンを組み、給与からの天引きで学費を後払いする仕組みだ。特徴的なのは、就職先の給与額によって学費として納める金額が異なる点にある。例えば、アキオジョブの研修では、就職先の年間給与額が50万~100万ルピー(約85万~170万円、1ルピー=約1.7円)の場合には12万ルピー(税別)となり、年間給与額が100万~180万ルピーの場合の学費は18万ルピー(同)となる。就職先の年間給与額が50万ルピー未満の場合には、学費の支払いが免除される。

マイナビのインド現地法人マイナビソリューションズインディアの伊藤秀和社長へのヒアリング(4月7日)によると、インドにはインド工科大学(IIT)各校に代表される世界でもトップレベルの高等教育機関があるものの、それ以外の大学では教育の質が必ずしも高くなく、卒業しても平均初任給と言われる月収3万ルピー前後の就職先を見つけるのに苦労する学生が多い。このため、十分な追加教育資金を持ち合わせていない学生でも後払いで研修を受けられる事業モデルは、今後インドで大きな成長が見込めるという。

マイナビは2018年10月にインド現地法人を立ち上げているが、日本と同様の人材サービス事業を実施するのではなく、現地企業への出資などを通じた事業展開に取り組んでいる。伊藤社長によると、インド進出当初は日本での事業領域にとらわれることなく、幅広い分野で可能性を探ってきたが、近年は従来、自社に強みのある人材教育の分野により重点を置いている。中長期的なシナジーの創出を目的として、今後も積極的にインドでの投資を計画しているという。

マイナビはこれまで日本国内での事業展開に重点を置いてきたが、近年は現地企業への投資を通じた海外展開を行っており、インドのほかにも、インドネシア(2021年12月28日記事参照)やポーランド(2022年1月5日付地域・分析レポート参照)などの新興国に進出している。

写真 IT技術研修の様子(マイナビ、クアンタムビットテクノロジーズ提供)

IT技術研修の様子(マイナビ、クアンタムビットテクノロジーズ提供)

(注)NBFCとは、2013年会社法に基づくノンバンク金融会社。資金の貸し付けや株式、再建などの金融資産の運用などを行う。

(広木拓)

(インド、日本)

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