中銀、ウクライナ侵攻の影響で2022年GDP成長率予測を4.5%に再下方修正

(スペイン)

マドリード発

2022年04月12日

スペイン中央銀行は4月5日に発表したマクロ経済予測で、2022年と2023年の実質GDP成長率見通しをそれぞれ4.5%、2.9%とし、前回2021年12月の予測からそれぞれ0.9ポイント、1.0ポイント下方修正PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した(添付資料表参照)。2022年の予測値については、前回発表時にも前々回9月の予測値から下方修正しており、今回はさらなる下方修正となる(2021年12月28日記事参照)。今回の下方修正の主な理由は、ロシアによるウクライナ侵攻だ。(1)短期・中期的なエネルギーや原料価格のさらなる高騰と物価上昇、(2)世界経済の見通し悪化や物流・バリューチェーン混乱の再燃、(3)景況感の落ち込みの影響で、新型コロナウイルスワクチン接種後の本格的な経済回復にブレーキがかかったためとしている。

中銀によると、2021年末から2022年初めにかけては、オミクロン株による感染第6波の影響が比較的軽微で、物流混乱に解消の兆しも出ていた。3月下旬には国家統計局(INE)が2021年全体のGDP成長率を速報値から0.1ポイント引き上げて5.1%にするなど、消費や投資が予想以上の堅調さをみせていた。今回の下方修正は、「新型コロナ禍」からまだ経済が回復しきっていないところへの、ウクライナ侵攻による影響という色合いが強い。

主な項目別にみると、物流混乱や物価上昇による景況感の悪化の影響として、民間最終消費支出と国内総固定資本形成の伸びが前回予測からそれぞれ0.6ポイント、3.3ポイント引き下げられ、いずれも4.5%増の予測となった。

インフレ率予測を2倍の7.5%に引き上げ

また、2022年の消費者物価指数上昇率が前回の3.7%から7.5%に引き上げられた。スペインはロシアへのエネルギー依存は小さいが、エネルギー輸入自体への依存度が高いほか、公定電気料金が毎時間変動するシステムを独自に採用していることから、エネルギー価格高騰の影響が他のEU諸国よりも早く反映されやすく、それによる購買力の低下幅も大きいとされる(「エクスパンシオン」紙4月3日)。政府は、事業者と消費者の両方を対象とするガソリンなどの原料価格の一時的な割り戻し(4~6月)などのインフレ抑制策を講じているが、中銀は、それによるインフレ押し下げ効果は0.5~0.8ポイント程度と予測する。

経済回復は短期的(2022~2023年)には鈍化するものの、2023年には消費者物価指数上昇率が2%台に落ち着き、2024年には実質GDP成長率が2.5%の堅調な伸びを見込むなど、従来の成長軌道に戻っていくとする。ただし、新型コロナウイルス感染拡大以前の経済規模への回復は2023年第3四半期以降と、従来予測よりも1年近くずれ込むとしている。

また、侵攻が終わる見通しが立っていないため、予測の不確実性が極めて高い。その他、物価・賃金上昇のスパイラルなどのリスクがある。他方、新型コロナウイルス感染拡大をめぐる不確実性は後退しているほか、EU復興基金の執行や依然良好な資金調達環境など、ウクライナ侵攻の打撃をある程度相殺し、成長を後押しする要因もある、と説明している。

(伊藤裕規子)

(スペイン)

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