清華大学などが世界コンピューティング力指数を発表、中国は前年に続き2位に

(中国)

北京発

2022年04月01日

インターナショナル・データ・コーポレーション(IDC)と、中国の浪潮電子信息産業、清華大学世界産業研究院は3月17日、「2021~2022世界コンピューティング力指数評価報告書」を発表した。それによると、コンピューティング力指数の国別ランキングで、中国は前年に続き第2位となった(ランキングの詳細は添付資料表参照)。

報告書によると、世界コンピューティング力指数は15カ国を対象として、コンピューティング能力、効率、応用レベル、関連インフラの4つの観点から、各国のコンピューティング力のレベルを評価したもの(注1)。中国のコンピューティング力指数は70で、前年比で4ポイント上昇し、米国(77、前年比2ポイント上昇)に次ぐ第2位となった。

また、ランキング対象の15カ国の人工知能(AI)コンピューティングへの支出額がコンピューティングへの支出額全体に占める割合が2016年の9.0%から2021年の12.0%に高まっており、2025年には25%に達する見通しが示された。過去5年間における15カ国のAIコンピューティングへの支出額増加分のうち、中国の増加分が全体の約60%を占めた。

清華大学世界産業研究院の李東紅副院長は「コンピューティング力は、経済発展において倍増効果(注2)を発揮するほか、デジタルと実体経済との融合を強く促進し、活性化させる役割を果たすこともできるため、中国の質の高い発展に重要な役割を担う」と指摘している(「中国新聞網」3月17日)。

中国では2022年2月に、全国のコンピューティングネットワーク発展計画「東数西算」プロジェクトを本格的に始動していた(2022年3月2日記事参照)。国家発展改革委員会ハイテク司の担当者は、コンピューティング力はデジタル経済のコア生産力であり、既に国民経済発展の重要なインフラになっているとの認識を示している(注3)。今後、同プロジェクトを通じて中国のコンピューティング関連インフラの整備が一層進むものとみられる。

(注1)報告書によると、具体的な評価指標は次のとおり。(1)コンピューティング能力は、サーバーへの支出額、世界TOP500スパコンの数量とランキング、人工知能(AI)サーバーへの支出額、スマートフォンとPCへの支出額の規模、スマートフォンとパソコンの保有量、エッジコンピューティングのハードウエアへの支出額、(2)コンピューティング効率は、新技術の平均使用率、クラウドコンピューティングの支出額、サーバーCPUの平均利用率、サーバーメモリーの平均使用率、サーバーメモリー設備の平均使用率、(3)応用水準は、ビッグデータ、AI、モノのインターネット(IOT)、ブロックチェーン、ロボットなどの関連ソフトウエア、ハードウエア、サービス全体への支出額、(4)関連インフラは、データセンターのソフトウエアとサービスへの支出額、超大規模のデータセンターの数量、データセンターの平均電力使用効率(PUE)、ネット支出規模、電力通信支出規模、メモリ設備の支出規模、メモリ出荷量(TB)。

(注2)報告書によると、一国のコンピューティング力指数が40以上の場合、同指数が1ポイント上昇するたびに、GDP成長率の引き上げ効果が1.5倍になる。また、指数が60以上になると、同指数が1ポイント上昇するたびに、GDP成長率の引き上げ効果が3倍に上昇する。

(注3)報告書によると、コンピューティング力と経済成長の間には顕著な正の相関関係があり、コンピューティング力指数が平均1ポイント上がると、国のデジタル経済とGDPがそれぞれ0.35%、0.18%成長するとされている。報告書では千分率で表記されているが、本稿では便宜上、百分率に換算して表記している。

(趙薇)

(中国)

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