シンガポールの農園数と調達先が増加、食糧の安全保障の取り組み強化

(シンガポール)

シンガポール発

2022年04月11日

シンガポール食品庁(SFA)は4月8日、国内の農場数が2021年に260カ所となり、2019年の221カ所から増加したと発表した。また、2022年のシンガポールの食品の調達先は、2019年の172カ国・地域から180カ国・地域へと増加した。同政府が包括的な食品統計を発表するのは初めて。

シンガポールは現在、国内で販売される食品の90%以上を輸入に依存している。SFAは2019年3月、2030年までに栄養ベースでの食料自給率を30%へと引き上げる目標「30×30」を発表し(2020年9月17日付地域・分析レポート参照)、葉物野菜や卵、養殖魚を中心に国内生産量の引き上げを図ると当時に、食糧安全保障対策の一環として食品調達先の多角化を進めている。

今回発表した統計によると、国内の卵の生産量は、2021年に6億4,370万個(国内の商品に占める割合:30.5%)で、2019年の5億2,810万個(25.7%)から増加した。他方、葉物野菜の国内生産量は2019年の2万4,300トン(4.5%)から2021年に2万3,500トン(4.3%)へと減少した。さらに、養殖を中心とした魚も2019年の5,300トン(7.9%)から2021年に4,900トン(7.8%)へと減少した。SFAによると、葉物野菜と魚が減少したのは、農家と養殖業者が新型コロナウイルスに伴う需要減を見込んで、生産量を調整したことによるものだ。

食糧の安全保障に向け、生産性向上に取り組む事業者への支援強化

シンガポールの農地は国土のわずか1%にすぎないことから、限られた土地で生産性を向上させる取り組みが進められている。政府は2014年4月に導入した「農業生産性基金(APF)」を通じて、テクノロジーを活用して生産性向上を図る国内農園や養殖業を支援してきた。2021年12月末までに、132の事業者が実施する約200件のプロジェクトに対し、総額で約5,000万シンガポール・ドル(約45億5,000万円、Sドル、1Sドル=約91円)を支給した。さらに、SFAは2021年4月から、AFPに代わる取り組みとして、総額6,000万Sドル規模の「アグリフード・クラスター変革(ACT)基金」(注)を導入している。

写真 2012年にスカイ・グリーン社が開園したシンガポール初の垂直型の農園(ジェトロ撮影)

2012年にスカイ・グリーン社が開園したシンガポール初の垂直型の農園(ジェトロ撮影)

またSFAは、農園が集積する同国北西部のリム・チューカンを「ハイテク・アグリフード・ゾーン」(面積390ヘクタール)とする、マスタープランを策定中だ。2023年から開発を開始する予定。また、同じく北西部のスンゲイ・カドゥットにハイテク農業や農業関連のR&D活動を集めた「アグリフード・イノベーション・パーク(面積18ヘクタール)」を建設中で、第1期工事が2022年以降に完成する予定だ。

(注)アグリフード・クラスター変革(Agri-Food Cluster Transformation:ACT)基金は、葉物野菜、卵、魚の主要産品であれば技術導入コストの70%(最大450万Sドル)を補助。その他の農産品はコストの50%(最大150万Sドル)を助成。そのほか、詳細はSFAの2021年3月4日付報道発表参照PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)

(本田智津絵)

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