大韓商工会議所、新政権発足後の日韓ビジネス展望を調査

(韓国、日本)

ソウル発

2022年04月27日

韓国の大韓商工会議所は4月21日、韓国企業327社を対象とした「新政権発足後の日韓関係の展望」に関する調査結果を公表した。調査は2022年4月11~15日にオンライン形式で実施された。

調査結果によると、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が5月10日に発足することに伴い、回答企業の45.3%が「日韓関係は改善するだろう」と回答した。これに対し、「変化はないだろう」とした企業は44.0%、「悪化するだろう」は10.7%だった。以前に実施した「日韓関係に対する企業の認識実態調査」(2021年12月8日記事参照)では日韓関係に悲観的な回答が多かった点を考えると、日韓関係改善への企業の期待感の高まりがうかがえる。

また、回答企業の約半数に当たる50.4%の企業は「日韓関係が改善すれば、貿易や投資を拡大する」と回答した。特に、現に日本企業と取引している企業(115社)の69.5%が「日韓関係が改善すれば投資を拡大する」とした。

日韓関係のうち、喫緊の解決すべき課題については、「輸出管理など両国間の貿易摩擦の解消」と回答したが39.4%と最も高く、「首脳会談などハイレベル外交の再開」(30.3%)、「経済、文化など民間交流の拡大」(17.1%)が続いた。日韓の協力分野については、「半導体などサプライチェーンの再編での協力」が48.3%と最も高く、「若年層の就職など人的交流の活性化」(19.0%)、「粒子状物質、海洋汚染物など国際的な環境問題への共同対応」(16.8%)、「デジタルトランスフォーメーション」(9.8%)、「カーボンニュートラルへの対応」(6.1%)と続いた。

車載電池の生産を手掛ける中堅企業のA社は「顧客の多様化が求められる中、日韓関係の悪化で日本の取引先の確保が難航している」としつつ、「日韓関係の改善は、一部の企業にとっては生き残りに関わる問題」と切実な現状を語った。LED製造装置を生産する中小企業のB社は「日本の流通チャネルを通じて日本に進出したが、日本向けの売り上げは他国と比べて著しく少ない状況」にあるとし、「日韓関係の改善を通じ、日本向けの売り上げが増えることを期待したい」と語るなど、日韓関係改善に対する韓国企業の具体的な声も紹介された。

(当間正明)

(韓国、日本)

ビジネス短信 b33b7b8fc364fe2a