2021年の特許出願件数は堅調に増加、OGP制度は日本企業の利用増加も
(香港)
香港発
2022年04月19日
香港知識産権署(HKIPD)はこのほど、2021年の特許・商標・意匠の国籍別出願・付与件数を公表した。標準専利制度(再登録特許制度)に基づく出願件数は、73カ国・地域からの2万1,686件(前年比1.8%増)と前年から微増になった。
出願人の国・地域籍別で最多の中国本土(出願した企業の国・地域籍を指す、以下同)の出願件数は6,949件と前年比4.9%増。前年から約4倍と激増した2020年との比較では、増加幅は落ち着きをみせた。2位の米国(6,854件)は6.5%増と堅調に推移。3位の日本(1,182件、0.1%増)、4位のスイス(907件、0.2%減)は前年からほぼ横ばいとなった。このほか、近年、減少傾向が続いていたフランス(375件、23.0%増)は増加に転じた。
出願企業の内訳をみると、2022年4月12日時点でHKIPDデータベース上に公開された、2021年の標準専利出願2万964件のうち、テンセントによる出願が3,970件と前年に引き続き1位となった。同社の出願内容をみると、デジタルデータ処理、ゲーム、画像通信に関するものが多くを占める。
2019年12月から導入された新たな特許制度「原授標準専利制度〔original grant patent(OGP)system〕」(2019年12月23日記事参照)に基づく出願件数は、13カ国・地域からの257件(前年比1.2%増)と横ばいだ。出願人の国・地域籍別でみると、韓国が119件で最多となり、次いで香港(80件)、中国(22件)と続いた。日本は前年の5件から13件に増加した。
上記データベース上に公開された2021年のOGP制度に基づく出願件数は152件で、このうち韓国の大手EC(電子商取引)企業クーパンによる出願が115件と最多。OGP出願全体の75.7%を占めた。
なお、2021年6月にはOGP制度に基づく特許権が初めて付与され、2021年通年では香港(3件)と韓国(4件)を内訳とする計7件の特許権が付与された。
このほか、2021年の商標出願件数は3万5,240件(前年比4.5%増)。2019年から2年連続の前年比減から増加に転じた。意匠出願件数は3,858件(0.5%減)と、前年(22.0%減)に続き減少したが、減少幅は大幅に縮小した。商標および意匠の出願は、長期的視点に基づく出願活動である特許とは異なる。企業が足元で、香港市場への展開を模索する意向が反映されているとみられる。
(ユミ・ラム)
(香港)
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