チュニジア、サイード大統領が議会を解散

(チュニジア)

パリ発

2022年04月07日

チュニジアのカイス・サイード大統領は3月30日、国家安全保障評議会を開催し、国民代表議会(以下、議会)の解散を発表した。チュニジア議会は2021年7月以降、サイード大統領によって活動が停止されていた(2021年7月28日記事参照)が、同日にラシード・ガンヌーシー議長がオンラインでの開催を強行し、大統領の緊急事態時の特別措置と、議会停止後に発令された全ての大統領令の無効化が承認されていた。

サイード大統領は、2021年12月に発表した改憲プロセス(2021年12月20日記事参照)の一環として、2022年1月1日から3月20日にかけて、16歳以上の国民を対象に、テーマごとの質問に選択肢で回答するアンケート形式のオンライン国民協議を開催した。同大統領は、協議の結果を踏まえて国民対話を行い、7月25日に改憲の是非を問う国民投票を実施するとしていたが、協議の回答率は対象国民の約8%にとどまり、与党アンナハダを中心とする反体制勢力は、改憲プロセスは国民の賛同を得られていないとして、国民投票の実施に反対していた。

サイード大統領はテレビ演説で、強行開催された今回の議会について、「クーデターの試みの失敗」で、「国家の安全を損なう陰謀」とした。司法当局は議会に出席した議員に対して「国家安全保障に対する共謀」の容疑で捜査を開始している。

小麦輸入量の40%をウクライナに依存するチュニジアでは、ウクライナ情勢の悪化に伴い、エネルギー・食料品価格が高騰している。このような状況で具体的な経済再建策を打ち出せていない大統領への国民の不信感は高まっており、政治的混乱が社会不安を増幅させる恐れがある、と内外メディアは指摘している。

(渡辺智子)

(チュニジア)

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