サイード大統領が今後の政治日程を発表、2022年12月に議会選実施へ

(チュニジア)

パリ発

2021年12月20日

チュニジアのカイス・サイード大統領は12月13日、国民に向けたテレビ演説で、憲法改正や議会選挙に関する政治日程を発表し、2022年12月に議会選挙を実施するとした。

今回の発表によると、まず、2022年1月1日から3月20日までの期間に、憲法と選挙法の改正に係る国民との対話をオンラインと地方ごとの直接対話の2本立てで行う。次に、国民の提案を考慮しながら、専門家からなる特別委員会が憲法改正案の作成を5月末までに行い、7月25日に憲法と選挙法改正の賛否を問う国民投票を実施する。国民投票で承認されれば、新選挙法に基づいて2022年12月17日に議会選挙を実施する。サイード大統領は2021年7月25日に緊急事態時の大統領権限の特別措置を定めた憲法第80条を適用して行政権を掌握し、議会活動を停止していた(2021年7月28日記事参照)が、今回の決定によって、2022年12月の選挙まで停止措置は継続することになる。

サイード大統領の発表に対しては、翌14日に社会民主系の3政党の「アッタヤール(民主潮流党)」「エタカトル(労働と自由のための民主フォーラム)」「アル・ジュムウーリ(共和党)」が共同会合後の会見で、「大統領の演説はまさにクーデター的アプローチの継続であり、国を混乱に導く独裁政権を志向している。大統領の示したロードマップは危機的な経済・社会状況を考慮していない」と批判した。その上えで、社会民主勢力を結集して危機脱却と真の民主主義への移行を目指すことで一致したと述べた。

また、14日、経験豊富な政治家や有識者、活動停止中の議会の議員など14人が発起人となって、政党の枠を超えた「救済のための国民連合」の創設を発表した。同連合はチュニジアの社会・経済的救済計画の構築に取り組み、三権分立の確保、権利と自由を保護する代表制民主主義の擁護を目的とするとしている。

チュニジアでは2014年の憲法改正以来、首相が内政を担うが、大統領への権力集中が顕著になっていることに対して、デモが度々発生している(2021年10月15日記事参照)。そうした中、サイード大統領は議会停止を延長し、国民との直接対話と専門家による憲法と選挙法の改正を目指すこととなる。

(渡辺智子)

(チュニジア)

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