中国の対ウクライナ輸出、3月は8割超の減少

(中国、ウクライナ、ロシア)

中国北アジア課

2022年04月25日

ジェトロがグローバル・トレード・アトラスを基に中国の対ウクライナ貿易(ドルベース)をまとめたところ、2022年第1四半期は輸出、輸入とも増加した。一方、3月単月でみると、輸入は増加したものの、輸出は8割超減少した。ロシアによるウクライナ侵攻が中国の対ウクライナ輸出に大きく影響したものとみられる。

第1四半期の中国の対ウクライナ輸出額は前年同期比18.0%増の19億6,075万ドル、輸入額は9.6%増の26億7,974万ドルとなった(添付資料「表1 2022年第1四半期および3月の中国の対ウクライナ輸出額」「表2 2022年第1四半期および3月の中国の対ウクライナ輸入額」参照)。3月単月では、輸出額が前年同月比81.2%減の9,300万ドルと急減し、1億ドルを割り込んだ。輸入額は22.6%増の8億9,647万ドルと引き続き増加した。

品目別では、第1四半期の輸出額上位10品目(HSコード4桁ベース)はいずれも増加したが、3月単月ではうち8品目が減少した。

1位は殺虫剤・除草剤等(3808)で、第1四半期は前年同期比45.9%増の1億935万ドルだが、3月は急減(前年同月比91.3%減の115万ドル)した。2位のパソコン等(8471)(第1四半期:52.4%増の7,145万ドル、3月:66.4%減の484万ドル)、3位の電話機およびその他の機器(8517)(13.5%増の7,100万ドル、23.8%減の1,035万ドル)も、第1四半期は増加したものの3月単月では減少した。

3月単月で増加した2品目をみると、ポリエチレンテレフタレート等(3907)が前年同月比62.5%増の2,204万ドル、乗用自動車その他の自動車(8703)が64.8%増の1,015万ドルだった。

トウモロコシの輸入は増加も今後の影響が懸念、大麦は3月に急減

2022年第1四半期の輸入額上位10品目(HSコード4桁ベース)をみると、1位はトウモロコシ(1005)で、前年同期比57.2%増の12億4,966万ドルと大きく増加。3月単月では、前年同月比94.8%増の4億3,471万ドルとほぼ倍増した。数量ベースでも、第1四半期は25.4%増の400万2,167トン、3月単月では63.8%増の135万5,507トンといずれも増加した。

2位は鉄鉱石(2601)で、第1四半期は前年同期比20.4%減の5億9,845万ドルと減少したが、3月単月では前年同月比20.1%増の2億6,263万ドルと増加した。3位はその他の植物性の油かす(2306)で、第1四半期(57.7%増の3億1,163万ドル)、3月単月(26.4%増の9,309万ドル)とも増加した。一方、7位の大麦および裸麦(1003)は、第1四半期は66.7%減の3,844万ドル、3月単月では99.9%減の4万ドルと急減した。

中国は、ウクライナから主に農産品などの1次産品を輸入しており、ロシアのウクライナ侵攻による影響が懸念されている。業界関係者は「ロシアとウクライナの衝突が根本的な解決をみない影響を受け、ウクライナでの農産品の作付面積や輸出可能数量は今後、大幅な減少が見込まれる。ウクライナから中国へのトウモロコシ、ヒマワリ油の輸入数量の減少幅も小さくないだろう」(「期貨日報」4月22日)との見通しを示している。

(注)中国の対ウクライナ貿易の推移は2022年1月31日記事参照

(中井邦尚)

(中国、ウクライナ、ロシア)

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