2022年1~3月期の失業率は2カ月連続で大幅に悪化

(香港)

香港発

2022年04月25日

香港特別行政区政府統計処は4月21日、2022年1~3月期の失業率(季節調整済み、速報値)について、2021年12月~2022年2月期から0.5ポイント悪化の5.0%と発表した(添付資料図参照)。

業種別にみると、主要業種の多くでさらに悪化した。中でも、感染拡大第5波(注)の到来による防疫措置の厳格化を受け、小売・宿泊・飲食業などの個人消費や観光に関連するセクターは、2021年12月~2022年2月期から1.8ポイント上昇の8.9%と大幅に悪化した。また、建設セクター(1.6ポイント悪化の8.0%)や芸術・娯楽セクター(2.9ポイント悪化の11.3%)なども悪化が顕著だった。

政府労働・福祉局の羅致光局長は今後の労働市場の見通しについて、「新型コロナウイルスの感染拡大が消費に対するダメージとなり、経済活動全般を阻害したことから、労働市場は短期的に引き続き圧力に直面し続けるだろう。ただし、(今後導入予定の雇用助成金を含めた)政府によるさまざまな救済措置の実施に加え、新型コロナウイルス関連規制の緩和(2022年4月20日記事参照)や電子消費券の配布(2022年3月1日記事参照)は、消費関連セクターの改善に加え、雇用面でもプラスに作用するだろう」とコメントした。

香港浸会大学の麥萃才副教授は「現行の各種防疫措置の一部緩和により、今後、料理店、映画館の経営は大幅な改善が見込まれ、雇用市場も回復が見込まれるが、失業率は3カ月の平均値であるため指標は引き続き悪化し、2~4月期の失業率は5.3~5.5%になるだろう」との見通しを示した(「経済日報」4月22日)。

(注)香港では一般的に、2020年1月の新型コロナウイルス感染拡大開始を「第1波」、同年3月中旬以降の輸入症例拡大を「第2波」、同年7月中旬以降および11月下旬以降の域内感染拡大をそれぞれ「第3波」「第4波」、2021年12月末以降の域内感染拡大を「第5波」と呼んでいる。

(野原哲也)

(香港)

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