上海市、一部企業で生産再開に向けた動きも、ハードル高く

(中国)

上海発

2022年04月18日

上海市の新型コロナウイルス対策に伴う都市封鎖は3区分管理へ移行したものの、大多数の工場やオフィスで稼働停止が続き(2022年4月14日記事参照)、新エネルギー車の生産や華南地域の工場の稼働にも影響が出ている(2022年4月13日記事2022年4月14日記事参照)。

操業再開に向けた動きも出ている。工業信息化部は上海市に作業グループを派遣し、今回の感染拡大による影響が大きい重点企業と外資プロジェクトを調査し、生産再開に向けた課題や問題点を把握。その上で、工業と情報化分野の重点企業ホワイトリストを作成し、集積回路、自動車製造、装備製造、バイオ医薬など重点産業666社を重点企業として、リソースを集中して当該企業の生産再開を優先的に進める。物流に関しても、国家発展改革委員会、交通運輸部と合同で長江デルタ1市3省(江蘇省、浙江省、安徽省)の重要生産物資の輸送調整メカニズムを構築し、通行証の相互認証も推進するとした。

自動車大手の上海汽車集団は、上海市が封鎖管理を解除する前に、生産再開のホワイトリストに入るための申請を行った。ホワイトリスト入りするには、当該企業と工場が独立した区域内にあり、検査の結果、異常もしくは感染者が全面的にゼロ、かつ7日間連続で新規感染者が発生しないという条件に合致すれば、生産を再開することができる。従業員は工場に入った後、直ちに3日間の静黙期間管理(封鎖期間中も工場などに残っていた従業員を別々に管理)を受け、その間、毎日のPCR検査または抗原検査の結果が陰性の場合、職場に復帰することができる。

上海汽車集団は4月15日、各傘下企業に通達を発出。各生産企業が生産再開に向けた準備状況の調査を即日開始し、調査結果を4月17日までにフィードバック、その状況を踏まえて翌18日から生産再開のためのストレステストを開始するとしている(「IT之家」4月15日)。

上海市経済信息化委員会は16日夜、「上海市の工業企業の操業再開における防疫対策の手引き(第1版)」を発表した。手引きでは、生産現場とそれ以外の空間を分けた区分管理の実施、従業員の健康管理の強化、物流管理と防疫物資の備蓄の強化、感染者発生時の緊急措置計画の策定などを求めている(手引きの詳細は添付資料表参照)。日系企業からは、工場敷地内に従業員宿舎がなければ、手引きに基づく対応は難しく、かなりハードルが高いという声も上がっている。

(高橋大輔)

(中国)

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