新型コロナ対策、好調な新エネ車の生産にも影響か

(中国)

上海発

2022年04月13日

上海市では、新型コロナウイルスの感染拡大とそれに伴う封鎖管理が継続しており、日系企業にも大きな影響が出ている(2022年4月7日記事参照)。この封鎖管理は好調な新エネルギー車の生産にも影響する可能性がある。

新興の電気自動車(EV)メーカーの蔚来汽車は4月9日、3月以降の感染拡大が原因で、吉林省、上海市、江蘇省など多くの部品サプライヤーで次々と生産を停止。現時点でも生産を回復する状況に至っておらず、完成車の生産は既に一時停止していると発表した。吉林省では感染拡大を受け、3月11日から封鎖管理が実施している(2022年3月22日記事参照)。江蘇省でも一部地域で封鎖管理しており、これに上海市の封鎖管理による物流面の影響も加わり、江蘇省の工場の操業にも影響が出ている。

車載用電池最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)は福建省寧徳市蕉城区に本社と最大の生産能力を持つ車載用電池工場を有する。2021年のCATLの車載用電池搭載量は82.51ギガワット時(GWh)と、世界シェアの52.1%を占める、世界最大の車載用電池メーカーで、EVメーカーに電池を供給している。

福建省では3月中旬から下旬にかけて感染が拡大したが、4月に入って感染者数は減少傾向にあった。CATLの工場がある寧徳市蕉城区は、福建省の感染拡大期にも感染者数はわずかだったが、足元でわずかに増加傾向にあることから、同区政府は10日、住民に対して不必要に蕉城区を離れず、離れる場合には48時間以内のPCR検査陰性証明を所持するよう求める緊急通告を発表した。加えて、10日午前0時から、蕉城区の区外とつながる全ての道路に交通規制を実施し、無接触積み下ろしやバブル方式管理のトラック、緊急車両を除き、その他の全車両を通行禁止すると発表した。

このような措置を受け、CATLの電池生産に必要な回路基板や電解液などの部品材料の輸送通行効率が低下し、生産に影響を及ぼしている。しかし、CATLの幹部はメディアの取材に対して「現地政府は厳格な防疫対策を取りながらも、私たちの企業の生産などをサポートしてくれている」と述べ、感染拡大の影響を乗り越えられるとの考えを示した(「ウォールストリート・ジャーナル中国版」4月13日)。

(高橋大輔)

(中国)

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