世界銀行、2022年のアフリカの経済成長見通しを3.6%と予測

(アフリカ、アンゴラ、ナイジェリア、南アフリカ共和国)

中東アフリカ課

2022年04月26日

世界銀行は4月13日、「サブサハラ・アフリカ地域の半期経済報告書2022年4月版外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。同年の同地域の経済成長率を3.6%と予測し、前回発表(2021年11月2日記事参照)から0.2ポイント下方修正した。なお、同報告書は2023年のGDPを3.9%、2024年を4.2%と予測し、前回発表よりそれぞれ0.1ポイント上方修正した。

2022年の経済成長率予測が前回予測(4.0%)を下回ったことについて、世界経済の低迷や、新たな新型コロナウイルス変異株の発生、世界的なインフレ、公的債務増加に伴う財政リスク、サプライチェーンの混乱、ウクライナ情勢が逆風になるとした。ウクライナ情勢については、サブサハラ・アフリカ諸国とロシア、ウクライナとの経済的な結びつきが一部の国(コンゴ共和国、スーダン、ガンビアなど)を除いて、それほど強くないとしながらも、食料や燃料価格の高騰は特にアフリカ都市部の貧困層の生活を悪化させるとした。また、戦争に伴う世界的な財政引き締め、外国投資の引き揚げもアフリカ経済に影響を与えるとした。

域内で経済規模の大きい国の2022年のGDPをみると、産油国のアンゴラとナイジェリアは原油価格の上昇により経済を押し上げるとして、それぞれ2.9%、3.8%と予測した。ナイジェリアは、ダンゴテ製油工場が2023年に完工することも回復の要因とした。一方、南アフリカ共和国については、前年比2.8ポイント減の2.1%と予測した。高い失業率や財政の悪化、非効率な国営企業の経営に加えて、輸入物価の上昇が経常収支を悪化させ、為替レートの逼迫を及ぼして、さらなるインフレを招くという構造的な問題を指摘した。

今回の報告書では、ウクライナ情勢や脱炭素化により、今後の見通しが資源国と非資源国で明暗が分かれることも指摘している。南ア以外の鉱物資源輸出国は今後3年間で4.8%の安定した成長が見込まれるとしており、例えば、コンゴ民主共和国とザンビアでは、短期・中期的には金属価格の上昇、長期的には脱炭素に伴う金属需要の高まりが経済に好影響を与えるとしている。一方、非資源国では一次産品価格の高騰で輸入額が増え、経済成長が縮小するとしている。

(小林淳平)

(アフリカ、アンゴラ、ナイジェリア、南アフリカ共和国)

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