世界銀行、アフリカの2021年の経済成長見通しを3.3%に引き上げ

(アフリカ、ナイジェリア、南アフリカ共和国、アンゴラ、ケニア、コートジボワール)

中東アフリカ課

2021年11月02日

世界銀行は10月6日、「サブサハラ・アフリカ地域半期経済報告書2021年10月版外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。2021年のサブサハラ・アフリカ諸国(以下、アフリカ諸国)の経済成長率を3.3%とし、4月の前回発表から1.0ポイント上方修正した。世界銀行は引き上げた理由として、一次産品価格の上昇や、各国でのロックダウンなど新型コロナウイルスにかかる規制の緩和、世界貿易の回復を挙げた。一方、財政悪化や新型コロナワクチン供給不足を踏まえ、回復は緩やかなものにとどまるとの予測となった。2022年の経済成長率は3.8%と予測している。

GDP成長率の見通しはワクチンの供給ペースによって変化すると指摘している。ワクチン接種が早まった場合、2022年は5.1%、2023年に5.4%と予測している。接種の遅れによって経済活動に影響が出た場合は、2022年は5.1%と変わらないままだが、2023年は2.4%としている。

主要国を見てみると、域内で経済規模の大きいナイジェリアは2.4%、南アフリカ共和国は4.6%、アンゴラは0.4%となった。非資源国のケニアやコートジボワールはそれぞれ6.2%、5.0%と高い成長率が見込まれる。

アフリカ諸国の公的負債は新型コロナウイルスの影響によって急増しており、2021年までに対GDP比71%になると予測されている。2021年8月時点でアフリカ諸国が調達するドル建てのユーロ債は90億ドルを超えており、2020年の年間調達額59億ドルを既に上回っている。ガーナは新型コロナ禍になってから初めてユーロ債30億ドルを発行した。ナイジェリアは9月に40億ドルのユーロ債を発行している。

2021年のアフリカ諸国のインフレ率は、食料価格やエネルギー価格の上昇に伴って4.3%と前年度比0.8ポイント増だった。ほとんどの国のインフレ率は1桁台にとどまると予測されており、50%を超えるのはスーダンとジンバブエのみだった。主要国の2021年の平均インフレ率は、ナイジェリアは16.5%と2桁の見込みとなっているが、南アは4.2%、ケニアは6.0%にとどまると見込まれている。

(小林淳平)

(アフリカ、ナイジェリア、南アフリカ共和国、アンゴラ、ケニア、コートジボワール)

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