日本の対エチオピア貿易、2021年は熱延鋼板の輸出が著増

(エチオピア、日本)

アディスアベバ発

2022年04月20日

日本の財務省の貿易統計によると、2021年の対エチオピア貿易(通関ベース)は、輸出が7,087万ドル(前年比16.2%減)、輸入が8,864万ドル(17.1%減)となった。貿易収支は日本の4年連続の入超だった(添付資料表参照)。

輸出では、主力の貨物自動車が大きく減少したが、これは前年に輸出の過半を占めていた小型トラック(5トン以下)が7割減(1,145万ドル)となったことが響いた。他方で、大きく増えたのは鉄鋼製品だ。例年、日本からの主力輸出製品として上位にくる鉄鋼製品は、前年までの冷延鋼板から熱延鋼板へと品目の切り替えがみられた。建設機械も大きく増えており、前年実績がなかったブルドーザー(467万ドル)に加えて、メカニカルショベル(376万ドル、6倍)の増加が貢献した。乗用車の倍増は、主に大型スポーツ用多目的車(SUV)(471万ドル、ディーゼル・排気量2500㏄超)によるものだ。当地では、国連機関や外交使節、援助機関などを中心に、悪路での走破性が高い大型SUVへの需要が大きい。

輸入では、コーヒー豆が多くを占める構造は変わらない。それ以外の主要品目の減少でむしろ集中度が高まり、輸入全体の8割をコーヒー豆が占めるまでになった。コーヒー豆は引き続き、生豆〔非焙煎(ばいせん)〕が主流(通常のもの6,935万ドル、カフェイン抜き135万ドル)だが、焙煎豆(99万ドル)の輸入も近年は増加傾向にある。これまでコーヒー豆に次ぐ輸入品目だったゴマは、主要産地である北部のティグライ州に端を発する紛争の影響に見舞われ、大きく減少した。そのため、2021年は花卉(かき)がコーヒー豆に次ぐ輸入品目2位となった。この紛争はアパレル製品にも影響し、委託生産先が稼働停止を余儀なくされたことなどから、大幅な減少となった。例えば、綿Tシャツは2020年の94万ドルから2021年は1万ドルへと減っている。増加した品目の中で目新しいのは、乾燥した豆で、これは主に緑豆(74万ドル)によるものだ。貴石・半貴石の増加は、統計分類されているエメラルドやサファイアに増加はみられないため、オパールによるものと考えられる(2022年2月2日記事参照)。

(関隆夫)

(エチオピア、日本)

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