エチオピア、隠れた貴石の名産地

(エチオピア)

アディスアベバ発

2022年02月02日

アフリカで貴石といえば、マダガスカルが有名で、ルビーやサファイアをはじめ、豊富な種類を産出する。その他にも、タンザニアはその名を冠するタンザナイトで有名だ。

貴石に詳しいイェブコン(2018年4月創業)CEO(最高経営責任者)のエヤス・アマレ氏によると(ジェトロが2021年8月25日にインタビュー)、エチオピアが貴石を産出する印象は薄いものの、オパールやエメラルド、サファイアなどが採れるという。このうち、オパールは、アディスアベバの北550キロのアムハラ州南ウォッロ県デランタ郡が主な産地だ。青ナイル川が流れる渓谷で、標高3,000メートルほどの地層から産出される。オパール採掘は、長くオーストラリアの独壇場とされてきたが、2008年にこの地でオパールが見つかるようになると、エチオピアは、世界2位の供給元となり、同じような品質ならば、オーストラリア産よりも廉価だという。もっとも、エチオピア産の貴石は、販路が限られ、品質の仕分けから、研磨などの加工に至るまで課題は多いという。

エメラルドは、オロミア州グジ県シャキソが主な仕入地となる。エチオピア産の特徴は、深い緑色に加えて、高い透明度と光沢、大ぶりなサイズだ。エメラルド内部に含まれる微細な内包物の影響を目立たなくする含浸処理(注)が多くの石で不要なことから、業界関係者の関心は高いようだ。

サファイアは、ティグライ州アクスム市付近が主な産地で、濃い青から明るい青まで幅広い。エチオピア産は未加工の状態のまま、米国、インド、オマーンなどで需要があるという。

国連統計からエチオピアの貴石・半貴石(HS7103)の輸出をみると、入手可能な直近3年間(2018~2020年)では、2018年に記録した676万ドルが最高で、2020年には285万ドルまで減少している。エメラルドとサファイアを含む小分類(HS710391)では、2019年が最高で6万4,000ドルを記録している。

(注)無色の油や天然樹脂を染み込ませる加工処理の一種。

(メセレット・アベベ、関隆夫)

(エチオピア)

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