国連総会の対ロシア決議への反応、ASEAN加盟国で分かれる

(ASEAN、フィリピン、ミャンマー、ベトナム、ラオス、インドネシア、ロシア、ウクライナ)

ジャカルタ発

2022年04月18日

ロシアのウクライナ侵攻を受けて、4月7日に開催された国連総会の緊急特別会合で、ロシアの国連人権理事会理事国としての資格を停止するよう求めた決議外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますについて、ASEAN加盟国の対応をまとめたところ、フィリピンとミャンマーが賛成、ベトナムとラオスが反対、残り6カ国は棄権だった。

3月2日の国連総会緊急特別会合におけるロシア非難決議案(2022年3月4日記事参照)では、ベトナムとラオスが棄権したほかは、全てのASEAN加盟国が賛成をしたが、今回の決議では多くが棄権に回った。今回反対票を投じたベトナムは、国際法に違反するあらゆる形態の民間人に対する攻撃を非難するとともに、長期的な解決策を見据えた対話の再開のみが唯一の対応方法だと主張した。棄権したインドネシアは「徹底的かつ独立した調査を行う必要がある」とした上で、国連人権理事会による調査委員会の調査結果を待つべきだと訴えた(国連プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

今回のASEAN加盟国の動向について、米国国務省のデレク・チョレット参事官は「ASEAN諸国の間では、ウクライナの国家主権がロシアによって侵害されているという合意はある」とした上で、「今後もASEAN諸国とともに、今回の(軍事侵攻の)影響に対処するため、どのように協力できるかを考えていくつもりだ」とコメントした。ベトナムについては「ロシアと長い付き合いがあり、軍隊もロシア軍と密接な関係にある」と指摘した(「ディプロマット」4月9日)。

なお、ASEAN加盟国外相は4月8日、ウクライナ情勢に関する3度目の議長声明PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表し、即時停戦や政治的な対話の継続を求めた(2022年3月9日記事参照)。同声明は引き続きロシアという国名には言及していない。

(上野渉、シファ・ファウジア)

(ASEAN、フィリピン、ミャンマー、ベトナム、ラオス、インドネシア、ロシア、ウクライナ)

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