北京市、グリーン消費促進へ3億元超の省エネ消費券を発行

(中国)

北京発

2022年04月19日

北京市商務局は4月12日、「グリーン・省エネ消費促進策の実施にかかる通知外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。同通知によると、グリーン・省エネ消費の潜在力を引き出し、消費の高度化を促進するため、市内の消費者に対して4月から9月の毎月、計6回にわたってグリーン・省エネ消費券を発行するとしている。消費券の総額は3億元超(約60億円、1元=約20円)となる(「北京日報」4月14日)。

消費券の対象は、ノートパソコンや空気清浄機、食器洗浄機、給湯器、テレビなど20種類の家電製品で、そのうちエネルギー効率の等級を示す「エネルギー効率ラベル」または「水利用効率ラベル」で2級以上と認定されたものとなる(注1)。

同通知によると、4月18日から9月30日までの期間、京東や蘇寧易購など10社の企業が自社のオンラインプラットフォーム上で、消費者1人につき合計900元の消費券(50元が2枚、100元が2枚、200元が1枚、400元が1枚)(注2)を毎月発行する。北京の消費者(注3)は氏名、身分証番号などの関連情報を登録すれば消費券を受領できる。消費券の使用期限は受領した当月中となっている。

北京市商務局によると、2015年から省エネ排出削減政策を実施した結果、過去6年間の関連企業による省エネルギー製品の販売量が累計で1,100万台を上回り、売上高は約420億元となった。加えて、当該政策の実施により、約7億6,000万キロワットの電力の節約、52万2,000トン分の二酸化炭素の排出削減、209万トン分の節水につながったとしている(「中国新聞網」4月12日)。

また、京東、蘇寧易購などは家電製品の買い替えキャンペーンを行っており、市民が同キャンペーンの対象商品を購入する場合、上記のグリーン・省エネ消費券に加えて、買い替え用の補助金も利用できる。

中国電子映像産業協会の董敏副秘書長は今回のグリーン消費刺激策について、カーボンニュートラルという大きな政策の方向性に沿うものであり、消費の拡大や関連産業の活性化にもつながると評価した(「北京商報」4月13日)。

国家発展改革委員会などは1月に「グリーン消費促進実施方案」を発表し、グリーン・低炭素排出製品の市場シェアの大幅な引き上げ、重点分野でのグリーン消費への転換などに向けた取り組みを強化するとしている(2022年1月31日記事参照)。今後、各地でも関連するグリーン消費促進策が打ち出されるか注目される。

(注1)「エネルギー効率ラベル管理弁法」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、エネルギー効率ラベルはエネルギー効率が最も高い1級から5級まで存在する。また、水利用効率ラベルは、水の利用効率等級や水利用量などの情報を表示するラベル。通知によると、対象となるのは、ノートPCやタブレットPC、空気清浄機、電子レンジなど16種類の製品はエネルギー効率2級以上を取得(うち、壁掛型ガス給湯器はエネルギー効率1級)しているもの、食器洗浄機、洋式便器、浄水器、シャワーシステムの4製品は水利用効率2級以上を取得しているもの。

(注2)50元券は購入額が500元以上の場合に利用可能となっており、100元券は1,000元以上、200元券は2,000元以上、400元券は4,000元以上の場合に利用できる。

(注3)購入した製品の配送先住所が北京市内の消費者。

(張敏)

(中国)

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