中銀が資本取引規制をさらに強化

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2022年03月14日

アルゼンチン中央銀行は3月3日、中銀通達A7466PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公布し、資本取引規制を強化した。

今回の通達は主に、(1)国外からの金融債務の借り換えと借り換え計画の報告義務の適用期間を2022年12月31日まで延長、(2)親子ローン返済のための外国為替市場へのアクセスに中銀の事前承認を求める措置の適用期間を2022年12月31日まで延長、(3)農業機械と電話機、バイク、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジなど耐久消費財の輸入代金の支払いを輸入通関の90暦日後から180暦日後に変更、(4)輸入の総合モニタリングシステム(SIMI)を通じた輸入許可申請に中銀が関与の4つで構成されている。

(3)の対象品目は、貿易と為替に関する通達10.10.1PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に記載したメルコスール共通関税分類番号(NCM、添付資料表参照)。同規則10.10.2に記載したぜいたく品の輸入代金の支払いは従来どおり「輸入通関から365暦日後」。規定に変更はない。(3)に加えて輸入者に大きな影響を及ぼす措置は(4)だ。

中銀は2022年の輸入許可申請(通称SIMIの申請)について、2020年、2021年の輸入実績額に応じてカテゴリーAとカテゴリーBの2つに分類する。カテゴリーAは、2021年のFOB輸入額の105%、あるいは、2020年のFOB輸入額の170%のいずれか少ない方の金額を上限に設定。この上限を超える輸入はカテゴリーBに分類する。SIMIカテゴリーAに分類する輸入の支払い条件は従来どおり、輸入通関後の輸入代金の支払いが可能だが、カテゴリーBに分類した輸入に係る支払いは輸入通関から180暦日後でなければできない。

ただし、メルコスール共通関税分類で資本財(BK)に該当する品目、新型コロナウイルス検出用キット、または政令333/2020号が規定する医療関連製品、非自動輸入ライセンスの対象品目は輸入通関から180暦日待つことなく、輸入代金の支払いは可能だ。なお、2020年、2021年に輸入実績がない場合、2022年のSIMIカテゴリーAの上限は50,000ドルとなる。

非自動輸入ライセンス対象品目はこれまでと変わらず、工業生産・開発省の厳しい管理下に置かれるため、輸入許可の取得は容易ではない。一方、非自動輸入ライセンス対象品目に比べて許可が下りやすかった自動輸入ライセンス対象品目は、今回の規制により中銀による管理の網がかけられた。そのため、今回の措置により、幅広い品目の輸入が厳しい管理下に置かれたと言うことができるだろう。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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