ルーマニアの世論調査、60%がロシアによる同国侵攻を危惧

(ルーマニア、ロシア)

ブカレスト発

2022年04月18日

ルーマニアで3月11日から17日にかけて市場調査会社IRESが成人1,038人に電話で調査した世論調査外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、「今、最も心配したことは」との質問に最も多かった回答は、昨年同様に物価高で、38%となったが、2番目には「戦争の恐怖」が34%だった。続いて「政治情勢」と「健康問題」が各6%。前年の調査では「物価高」30%、2番目が「健康問題」で27%だった。また、ルーマニアもロシアに侵攻される危険にさらされることを恐れているとした回答は60%に上った。一方で、39%は「恐れていない」と回答した。ウクライナ情勢に関する情報源を聞く設問では、79%がニュースをフォローしているとし、そのうち79%がテレビ(オンラインを含む)、27%がSNSでフォローしているという。

「今、ルーマニアは何をすべきか」という質問には、96%が「ウクライナ難民の支援」、38%が「ウクライナへの武器輸送」、21%が「ウクライナを支援する軍事介入」と回答した。

(数カ国を巻き込む)地域的紛争に発展すると思うかとの質問に対しては、「強くそう思う」と「どちらかといえばそう思う」の合計が42%、「通常兵器による世界大戦に発展するか」という質問には、上記2つの回答の合計が33%、「核戦争に発展するか」との質問に対しては、同2つの回答が26%に達した。

クラウス・ヨハニス大統領をはじめとした政府首脳は、ルーマニアが侵攻される心配はないと繰り返し強調しており(2022年2月15日記事参照)、3月にはルーマニアに続々とNATOの増派部隊が駐留を開始している(2022年3月7日記事参照)が、国民が不安を払拭(ふっしょく)できない様子が垣間見える。

ルーマニアの4月14日付「ナインオクロック」紙によると、ヨハニス大統領とニコラエ・チウカ首相は4月13日、ベルギーのアレクサンダー・デ・クロー首相を第57ミハイル・コガルニチェアヌ空軍基地に迎えた。大統領は首相に対し、ベルギー軍のルーマニア派兵に謝意を述べ、NATO加盟国が一致して協力しなければ地域の安全保障や幸福は得られないと強調した。デ・クロー首相はNATO軍の兵士らに対し、その存在は連帯の象徴というだけでなく、自由と民主主義を守り、民主主義と自由な世界は決して敗北しないという強いメッセージであると述べた。

(西澤成世)

(ルーマニア、ロシア)

ビジネス短信 387e7d63378d26a7