米国の2021年第4四半期の直接投資、対内・対外とも増加
(米国)
米州課
2022年04月12日
米国商務省経済分析局(BEA)は3月24日、2021年第4四半期(10~12月)の対内・対外直接投資額(フロー)を発表した。
同四半期の対内直接投資額は1,187億ドル(前年同期比67.6%増)となり、第1四半期から第3四半期(2022年1月17日記事参照)同様、増加傾向が続いた(添付資料表1参照)。地域別にみると、欧州は62.6%増の897億ドルと大幅に拡大し、アイルランドは18.4倍の324億ドル、ルクセンブルクは76億ドルの流入超に転じ、スイスも36億ドルの流入超に転じた。一方、英国は76.4%減の53億ドルにとどまった。カナダは2.4倍の107億ドルだった。アジア太平洋州は43.2%増の151億ドルで、日本は31.3%増の118億ドルだった。中南米は2.7倍の27億ドルで、増加率は全地域中で最大となった。メキシコが3.9倍の21億ドル、ブラジルは5.4倍の4億ドルとなった。
業種別でみると、製造業は329億ドルから7.7%減の304億ドルだった。一般機械がマイナス6億ドルから41億ドル、金属がマイナス10億ドルから17億ドルとプラスに転じたが、化学が67.8%減の87億ドルの大幅減となったことが響いた。非製造業では、不動産・リースがマイナス31億ドルから306億ドルのプラスに転じ、専門サービスが9.3倍の121億ドルに拡大した。
外国企業による米企業のM&A案件としては、アイルランドの独立系航空機リース会社エアキャップ・ホールディングスによる、ゼネラル・エレクトリック(GE)傘下の同業子会社GEキャピタル・アビエーション・サービスの買収が2021年11月に完了(316億ドル)したほか、カナダの鉄道カナディアン・パシフィック・レールウエーによる同業のカンザス・シティー・サウザンの買収(2021年12月に完了、303億ドル)など、輸送分野の大規模買収案件が目立った。
2021年第4四半期の対外直接投資額は前年同期比3.4倍の1,162億ドルだった(添付資料表2参照)。地域別にみると、欧州は増加率が全地域中の最大で、42.7倍の777億ドル。アイルランドは298億ドルの引き揚げ超過から317億ドルのプラスに転じたほか、英国は2.2倍の245億ドル、オランダは6倍の109億ドルと増加した。一方、スイスは95%減の4億ドル、ドイツは86.3%減の8億ドル、フランスは32億ドルからマイナス5億ドルと引き揚げ超過に転じた。アジア太平洋州は29.3%減の138億ドルと減少した。特にシンガポールは42.9%減の104億ドルとなり、香港も72.5%減の9億ドルにとどまった。一方、日本は7億ドルの引き揚げ超過から26億ドルのプラスに転じた。中南米は2.2倍の118億ドルと拡大し、カナダも2倍の99億ドルだった。
業種別でみると、製造業が13.9%増の152億ドル、コンピュータ・電子製品が5.3倍の36億ドル、機械は64.7%増の21億ドルとなった。一方、化学は37.2%減の45億ドル、電子機器はプラス2億ドルから2億ドルの引き揚げ超に転じた。非製造業では、金融・保険がマイナス282億ドルから250億ドルのプラスに転じ、持ち株会社(ノンバンク)は36%増の455億ドルとなった。一方、卸売業と専門サービスはそれぞれ49.5%減、49.2%減だった。
米企業による外国企業のM&Aでは、特別買収目的会社アルティメーター・グロースによるシンガポールのソフトウエア企業グラブ・ホールディングスの買収が2021年12月に完了した(311億ドル)ほか、投資家グループによるオーストラリア電力会社スパーク・インフラストラクチャー・グループ(Spark Infrastructure Group)の買収が11月に完了した(46億ドル)。
(高山さわ)
(米国)
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