米国の2021年第3四半期の直接投資、対内・対外とも増加

(米国)

米州課

2022年01月17日

米国商務省経済分析局(BEA)は12月22日、2021年第3四半期(7~9月)の対内・対外直接投資額(フロー)を発表した。

同四半期の対内直接投資額は1,183億ドル(前年同期比3.2倍)となり、第1四半期(1~3月)、第2四半期(4~6月)(2021年10月5日記事参照)同様、増加傾向が続いた(添付資料表1参照)。地域別にみると、欧州が4.5倍の905億ドルと大幅に拡大し、オランダが8.4倍の451億ドル、ドイツが3.7倍の104億ドル、英国が5.5倍の52億ドル、アイルランドが5.1倍の60億ドルだった。カナダは2.5倍の109億ドル。中南米は11.7倍の30億ドルで、増加率は全地域中最大となり、メキシコが2.5倍の16億ドル、ブラジルは5.9倍の1億ドルだった。アジア大洋州は12.9%増の134億ドルで、日本は15.5%増の85億ドルだった。

業種別でみると、製造業全体で2.4倍の382億ドルに増加し、金属は37.5倍の24億ドル、一般機械が3.1倍の65億ドルだった。非製造業では、卸売業が6.9倍の451億ドルで、金融・保険が11.5倍の140億ドルに増加した。

外国企業による米企業のM&A案件としては、英国の医薬品メーカーのアストラゼネカによる同業のアレクシオン・ファーマシューティカルズの買収が2021年7月に完了(412億ドル)したほか、アイルランドの医薬品開発業務受託機関(CRO)のアイコンによる同業PRAヘルスサイエンスの買収(118億ドル)が7月に完了するなど、ヘルスケア分野での大規模M&Aが目立った。

一方、2021年第3四半期の対外直接投資額は767億ドルで、前年同期比47.8%増となった(添付資料表2参照)。地域別にみると、欧州は9.6%減の374億ドルだった。オランダが2.5倍の90億ドル、英国は38.1%増の171億ドル、スイスは74.9%増の68億ドル、ベルギーは3.0倍の32億ドルとそれぞれ増加したが、ドイツは85.6%減の15億ドル、アイルランドは引き揚げ超過額が36億ドルから96億ドルへと大幅に拡大した。アジア大洋州は13億ドルの引き揚げ超過から95億ドルへと大幅に増加した。シンガポールは129億ドルの引き揚げ超過から1億ドルとプラスに転じ、香港も8億ドルの引き揚げ超過から24億ドルのプラスに転じた。一方、日本は40.3%減の20億ドルだった。中南米は3.0倍の189億ドルと拡大し、カナダは45.2%の増の99億ドルだった。

業種別では、製造業全体で23.7%増の213億ドルとなり、コンピュータ・電気製品が6.5倍の45億ドルに増加した。非製造業では、情報産業が138億ドルの引き揚げ超過から57億ドルのプラスに、卸売業も29億ドルの引き揚げ超過から57億ドルと回復した。

米企業による外国企業のM&Aでは、ゴアズ・ホールディングスとルクセンブルクの飲料パッケージメーカーのアーダー・メタル・パッケージングとの合併が8月に完了した(95億ドル)。また、企業買収を目的とする特別目的会社(SPAC)のエイジャックス・アイ(AJAX I)と英国のオンライン中古車販売会社カズーの合併(64億ドル)が8月に完了した。

(高山さわ)

(米国)

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